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今年のクリスマスは日曜日だった。クリスマス前の最後の木曜日、カフェを訪れた不死川先輩は帰り際に「迎え来るから」と私に告げて帰って行った。
クリスマス当日までの間に、蜜璃ちゃんと出掛けてデート用の服を新調した。あとは蜜璃ちゃんの提案で不死川先輩にプレゼントも用意した。先輩を思いながらするプレゼント選びは本当に楽しくて、それだけで幸せだった。
見るもの、目に映るもの全てがキラキラしていて眩しくて、甘すぎるかもしれないけれど、どこか温かいこの世界に胸が弾み自然と頬が緩んだ。久しぶりにこんなにも高揚とする左胸は、クリスマスに近づくにつれて更にその音とリズムが軽快になっていった。
明日は楽しんで、と蜜璃ちゃんから連絡が来た。蜜璃ちゃんは今日から1泊2日で、例の彼氏さんとクリスマス旅行に出かけている。旅先からわざわざ連絡をくれた彼女の思いやりに、胸を打たれながら私は連絡を返してから明日の準備を進めた。
メイクも髪も、綺麗に可愛くなるように、巻けるように何度も何度も練習を繰り返した。
…伝えたいことも、ちゃんと、考えた。
_____大丈夫、絶対上手くいく。
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…クリスマス当日と言うこともあって、店内は大いに賑わっていた。どこを見てもカップル、カップル、カップルと。クリスマスの経済効果は毎年凄まじいんだろうな、とくだらないことを考えて気を紛らわす。
窓に映る空は、どんよりとしていて今にも泣き出しそうなそんな色だった。ホワイトクリスマスになるかもしれない、と朝の情報番組のお天気コーナーで言っていた気がする。そんな空をボーッと眺めていれば、カランコロンという音。時計を見れば14時45分を少し過ぎた頃で、視線を入り口に移せば一気に心拍数が上がる。
「…よォ。」
私が立つレジに向かって一直線にくる不死川先輩は、ほんのりと染まる頬を覗かせていつもので、とお金をトレイに入れた。終わったら声かけて、と言う彼はいつもの席が埋まっているため端っこの2人席に腰掛けて、クルクルとスプーンを回していた。
_____3時4分、タイムカードを切った。
「…お待たせ、しました。」
震える声で彼を呼べば、行くかァと手を引かれカランコロンという音が再びなった。
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三月の専属ストーカーなつめみく - 宇随さんの小説でホイップ増量でェってセリフがリンクになってたから飛んでみたらいきなりさねみんがホイップ増量でェとか言ってて吹いた。 (10月25日 16時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - にじさん» にじさん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんらしさがなかったら…と不安でしたし、皆さんが想像しやすいように描写の方も力を入れているのでそう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます( ; ; )今後も頑張りますのでよろしくお願いします…! (2021年2月21日 23時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - コメント失礼します。蓮さんが書く実弥さんとても好きです…。こんな恋がしてみたい!ときゅんきゅんしてます…!描写も一つ一つが丁寧でとっても素敵で…これからもコッソリと更新を楽しみにさせて頂きますね。 (2021年2月21日 17時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - パチ麻呂さん» パチ麻呂さん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんとの恋を楽しんで頂いてるみたいで私も嬉しい限りです!労いのお言葉までありがとうございます…!甘くしていけるよう努力してまいりますので今後もお付き合い頂ければ幸いです。よろしくお願いします! (2021年2月19日 22時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - コメント失礼します。文章1つ1つが可愛らしいというか、恋してる気持ちになれて堪りません( ; ; )スマホ片手にジタバタしちゃうくらいキュンキュンします。これからも楽しみにしています。お体に気をつけて蓮さんのペースで更新頑張ってください! (2021年2月19日 5時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮 | 作成日時:2021年1月26日 21時