ホイップ増量で。【不死川実弥】

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「…重くねェか？」
「大丈夫です」



あれもこれも、と何も考えずにカゴに商品を入れていたこともあり大量の荷物だった。でも先輩はやっぱり優しいから、お菓子がいっぱい入った軽い袋を私に渡してきた。それでもこうやって気にしてくれるんだ。


…重いわけないのにな。


でもちらちらとこっちを見る先輩は、両手で持っていた袋を自身の左手に纏めて、空いた右手で私の袋の持ち手の1つを持った。側から見たそれは、1つの袋の持ち手を2人で仲良く持っている。街灯に照らされた薄明かりの道。その上で先輩は耳たぶを赤く染めて早く帰ろうって。


「そうですね」


私の震える声はきっと行き交う車の騒音に掻き消され、私の熱い頬はこの夜が味方してくれた。





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「お邪魔します」


今更だが、何をのこのこと先輩の部屋に上がっているんだ。色々とアウトじゃないのか？先輩に限ってよからぬ事を…なんて、こんなことを考えている自分に心底呆れた。


これじゃまるで、私ただの変態女じゃん。


先輩の部屋は何かこう、男、という感じの部屋だった。ブルーを基調としたカーテンや、同じくブルーだが淡い色味の寝具が並ぶベッド。1人用のデスクには教科書類や少年漫画がずらりと並び、テレビボードの下には今人気のゲーム機が。そして壁に沿って置かれるラックには何やら土が敷き詰められた虫籠。



「あんま見んなァ」
「す、すみません」



ボアジャケットを脱いだ先輩は、白いタートルネックのセーターを着ていた。割とタイトなそのセーターは身体のラインが思ったよりも出るわけで、彼の、その、立派な胸筋や肩甲骨周りの筋肉の形もやんわりと見えて綺麗な逆三角形となっていた。

そしてこれから調理をしていくわけで、自然とセーターの袖を捲る彼。腕まくりされ、豪快に晒されたその前腕部分のぷっくりと膨らむ筋肉。


…何でこうもかっこいいんだ。


最早、これは罪であると私は思いながら彼と同じように調理できる準備を整えて彼の隣に立った。

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