ホイップ増量で。【不死川実弥】

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「……こっち向かってるってよォ」
「そうですか、よかったです」



夜も大分更けてきた。現在午前2時を少し過ぎた頃。罪悪感と共にデザートまで平げた私たち。ドキドキ高鳴る胸と一緒に、先輩と世間話を弾ませていた私たちの元へ宇髄先輩から連絡がきた。あと5分ぐらいだと追って連絡が来たため、会計にと立ち上がったのだが、自分が払うと頑固な先輩と軽い言い争いが繰り広げられていた。



「私が無理矢理連れてきたので私が払います」
「無理矢理じゃねェ、自分で歩いてきたァ」
「そういうことを言ってるんじゃなくて…！」



先輩をたてるべきだろ、と言うがそんなの知らない。好きなハンバーグじゃくて私に合わせてくれたし、ここは私が、私に是非。



「じ、じゃんけんしましょう」
「却下」
「うっせぇなお前ら」



軽快で軽やかなメロディーが響く中、ヘルメット片手に仲良しかよ、と豪快に笑いながら宇髄先輩が登場した。店員、困ってんぞー、と宇髄先輩の言葉にチラッと見れば額に軽く汗を浮かべ、眉を八の字にさげる女性店員の姿。申し訳ない、と思っていればキャッシュトレイにお代を置いて勝ち誇ったような表情の不死川先輩。


しまった……！


と、時すでに遅し。丁度お預かりします、という声が響き、同時にドンマイと宇髄先輩の手が私の肩に置かれた。






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「いらねェ」
「嫌です、受け取って下さい」



お店を後にしてからも繰り広げられる私たちの戦い。頑固だな、と若干呆れ気味にガシガシ頭を掻く彼。宇髄先輩は普段バイクに乗っている。午前2時を過ぎ、当たり前だが終電はとうの昔に終わっている。バイクは2人乗りが限界なのでお店の前で解散しようと試みたが、私をマンションまで送っていくと優しい彼らに甘えさせてもらい、3人並んで歩く道。


寒いけれど、どこかあったかいと思うのはたぶん言い合いをしてる彼のおかげ。

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