ホイップ増量で。【不死川実弥】

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……どれもこれも美味しそう。


火照る頬を隠すのにメニューの大きさは丁度いい。先程の先輩のありがとうは見事に私を射抜いた。普段はムスッとした表情が多いというのになんだあれは。喧嘩売ってるのか。




「…決まったかァ？」
「もうちょっとです」



……何も決めていません、なんて言えず適当にペラペラとページを捲れば、目についたのはカルボナーラとふわとろ卵のオムライス。一人暮らしだと普段の食事は疎かになりやすいし、何より1人だから凝ったものを作るなんてことしない。

私的にカルボナーラは、生クリームとかベーコンなどいろんな食材が必要ってこともあり作ったことない。オムライスは作るけどこんなふわとろの卵作れない。



……迷ったこれは。



どっちも美味しそうだし、どっちも自分じゃ作らない。どっちにしよう、と考える私の眉間には無意識に皺が寄っていたらしく、そんな私を見て不死川先輩は皺、と笑った。



「何と迷ってんだ」
「カルボナーラとオムライスです」



恥ずかしくておでこを隠しながらそう言えば、たしかに両方美味そうだなって先輩も眉をハの字に曲げて笑った。




「先輩は何にしたんですか？」
「…ハンバーグ」
「好きなんですか？」
「おォ、まあァ」



メニューの最初のページにドドーンとその存在を知らしめる1番人気のハンバーグステーキ。ハンバーグも美味しそうだ、でもカルボナーラもオムライスも捨てがたい。優柔不断な性格がこうも出るとは、先輩に申し訳ないと思いつつもやっぱり決められない。



「……あ、すみません、注文いいですかァ」
「はい」
「カルボナーラとオムライス、あとドリンクバー2つと…取り皿2つ下さい」
「かしこまりました」



近くを通る店員にメニューを伝えればごゆっくりどうぞ、と笑って厨房の奥に消えた。何もなかったかのように彼は立ち上がりスタスタとドリンクバーコーナーへ。スマートな行動に呆気にとられ暫くの間、私の思考は停止していたらしく我に帰ったのは先輩がココアを持って戻ってきた時だった。

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