ホイップ増量で。【不死川実弥】

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＿＿＿＿＿＿こんなこと人生で初めてだった。




高校2年生の時に付き合っていた彼のことは本当に好きだったけど、自分から誘うのには勇気が足りなくていつも彼からのお誘いでデートに行くっていうのがお決まりだった。

…人見知りで、時間をかけて関係を築く私が、たったひと月と半月ほどのお付き合いの方を誘うなんて自分でも内心愕然としている。それぐらい不死川先輩の存在が、私の中で大きいというのが今回証明された。



片思い、か……。



小心者の私だから告白なんて今までしたことないし、だからこそ前の彼にはフラれたわけで。ようやく自覚したわけだからすぐに告白どうこうなんてならないけど、前途多難と言うべきか、先が思いやれると言うか。




11月下旬の今日。寒さが身体に滲み始めもう時期に冬本番を迎える中、私たちは近くの24時間営業のファミレスへ。



…先輩は何も言わずにただ私の半歩先を歩いていた。


迷惑だったかな、と思いつつも今まで彼の行動を考えるとどこか期待して浮き足立ってしまう。それに今だって本当に嫌なら来ないわけだし、でもでも先輩は本当に仏様みたいに優しいから無理して来てくれているのかもしれない。


ぐるぐるといろんなことが螺旋を描く脳内。期待と不安が半分このそれは、特徴的で醍醐味とでも言えよう。そんなことを1人で悶々と考えているうちにファミレスに到着。夜も遅いということで、客の姿は疎らで閑散としていた。案内された窓側の席に、向かい合うように座ればお互い黙り込んでしまうのは避けられないみたいで。



「…悪りィな、気遣わせて」
「そんなことないです、むしろなんかごめんなさい…無理矢理連れてきてしまって」



膝の上でギュッと握る拳。今更ながら罪悪感に苛まれる私は先輩の顔を見れずに俯いた。



「……優しいな木下は」




＿＿＿＿＿＿ありがとう。



目を細めて笑うその顔は溢れんばかりの優しさがあって、冷えた身体を温かく包み込んでくれるようだった。

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