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はぁ、と吐いた息が白く染まって消えていく。あと3日ほどで12月ともなれば、息が白くなるのなんて当たり前か。
またまたバイト終わりの23時過ぎ。バイトしかしてないな、華の女子大生なのに、と呆れるのも日常茶飯事であるわけで。でも今日は好きな雑誌の発売日。コンビニに寄って帰ると誓った日だ。るんるんと軽い足取りで最寄り駅のコンビニへ。
……あれから不死川先輩とはこれといったことはない。
相も変わらずカフェには来るが、大学内で会って少し話をするぐらいで、前みたいに2人でレポートをするとか一緒に帰るとか、ましてや連絡を取り合うっていうのはなかった。そのおかげもあってかあんなにも高鳴っていた胸も静かになったが、少し寂しさを抱える自分の正直さにうんざりした。
……やっぱりそういうことなんだろうか。
認めたくない強情っぱりな自分と、馬鹿正直な自分の狭間で揺れる日々を送っているというわけだ。
「860円です」
好きな女優と俳優が表紙の雑誌を手に取りレジへ直行。この2人が主演の映画が来月から上映されるため、2人の特集ページがなんと20数ページにも及ぶと。さらにさらに映画公開を記念して特典であるハンカチが付録としてついてくる。
私得でしかない…!
ありがとうございましたー、と店員の気怠さを伴った挨拶に見送られ出口に向かう私の瞳に映る見慣れた髪色。コンビニのイートインスペースの端っこで、コーヒーと共に机に突っ伏す彼。
「……不死川、先輩?」
「木下…?」
私の声に勢いよく顔を上げた不死川先輩は、淡い紫色の瞳を大きく開けていた。長時間、机に突っ伏していたのかおでこが赤くなっていた。コンビニに入った時は彼がいるなんて気づかなかった。
気づいた瞬間、彼だとわかった途端、鮮やかに色づく世界。
_____この世界のことを私は知っている。
でもまだ、今はまだ強情っぱりな私が少しだけ勝っていて気づかないフリをするの。
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三月の専属ストーカーなつめみく - 宇随さんの小説でホイップ増量でェってセリフがリンクになってたから飛んでみたらいきなりさねみんがホイップ増量でェとか言ってて吹いた。 (10月25日 16時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - にじさん» にじさん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんらしさがなかったら…と不安でしたし、皆さんが想像しやすいように描写の方も力を入れているのでそう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます( ; ; )今後も頑張りますのでよろしくお願いします…! (2021年2月21日 23時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - コメント失礼します。蓮さんが書く実弥さんとても好きです…。こんな恋がしてみたい!ときゅんきゅんしてます…!描写も一つ一つが丁寧でとっても素敵で…これからもコッソリと更新を楽しみにさせて頂きますね。 (2021年2月21日 17時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - パチ麻呂さん» パチ麻呂さん初めまして、コメントありがとうございます!実弥さんとの恋を楽しんで頂いてるみたいで私も嬉しい限りです!労いのお言葉までありがとうございます…!甘くしていけるよう努力してまいりますので今後もお付き合い頂ければ幸いです。よろしくお願いします! (2021年2月19日 22時) (レス) id: e728655408 (このIDを非表示/違反報告)
パチ麻呂(プロフ) - コメント失礼します。文章1つ1つが可愛らしいというか、恋してる気持ちになれて堪りません( ; ; )スマホ片手にジタバタしちゃうくらいキュンキュンします。これからも楽しみにしています。お体に気をつけて蓮さんのペースで更新頑張ってください! (2021年2月19日 5時) (レス) id: 1f374d88ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮 | 作成日時:2021年1月26日 21時