魔女集会で会いましょう【歌い手】 (ページ6)

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呪いの魔女ページ6

「あら、生き残りがいたの。失敗しちゃったわね。どうしましょ、バレると都合悪いし……」

……

「母さん、そこの魔法陣思いっきりズレてるよ」

長い、伸ばしっぱなしの髪を束ねて、煙草を吸いながら魔法陣を描く俺の母さん。身長が高くて、細い、そして綺麗な自慢の母さん。もう少し整えれば男も寄ってくると思うんだけど、そういうのは入り用じゃないらしい。

「ああ、うん、ぼーっとしてたの。だって、毎年、私が通ろうとすると道ができるんだもの、それを考えると嫌になるじゃない？」

母さんは呪いの魔女。呪いといっても、のろい、とまじないに分けられるふたつを使う母さんは、仕事以外ではあまり魔法を使わない。
だから、偏見で避けられるけど、母さんを知らない奴が勝手に言うだけで、母さんは何も悪くない。

「母さんが魔法使わなければ何もないのにね。どうする？衣装、今年は思い切ってプリンセスドレスにしてみる？」

「そんなのいつの間に……。いつものでいいわ、そんな派手なの着る歳じゃないもの」

「たかが六百歳でしょ、若い若い」

「あらきの二十倍は生きてるんだけど」

「大丈夫、ただのオネーサンにしか見えない」

「はぁ……。仕方ないわね、今回だけは着てあげる」

そう言いながら紫煙を吐く母さんの姿は、拾われた時から変わらないまま。俺はきっと、綺麗なままの母さんに看取られて死んでいくのだろうと、少しだけ悲しくなった。