02:恋に落ちる瞬間〜dh〜 ページ2
*
恋に落ちる瞬間の音があるとしたらそれは多分、
静かな水面に小さな雨水が落ちる瞬間の音みたいな感じじゃないかと思う。
急に降り出した雨を避けるために入った軒先。
店内を覗けばそこは、まるで絵本にでも出てくるような可愛らしい作りのカフェ。
いや、カフェというより小さなケーキ屋さんだった。
「へえ…こんなとこにいつの間に…」
小さな間口を入ると、奥には2人掛けの小さなテーブル席が二つ。
閉店間際のそのカフェのショーケースの中には、小さなケーキが数個。
「あ、イチゴショート…」
そう言えばヒョクのプリン食べちゃって、
帰りに買ってこないと絶交だって言われてたんだった。
まあこれでも買ってけばヒョクも文句ないだろ。
その時＿＿
「困るなあ、1000ウォン足りないじゃない」
「今日、おんまの誕生日なの。
おんま病気で…ケーキ食べさせてあげたいんです」
「少しでも足りないと売ってあげられないわ」
「お願いです、足りない分は絶対明日持ってきますから(泣)」
そんなやりとりが聞こえて。
視線を移すと、見るからに見窄らしい汚れたセーターに
季節外れの夏物のスカートを履いた小さな女の子が立っていて。
レジのトレイに載せられたくしゃくしゃな札と小銭を
店員の子が汚いものを見るように数えていた。
そんな姿にムッとして。
そのまま出て行こうかと思ったけど、
その子がかわいそうで思わずオレが、と声を上げそうになった時。
「ちょっと待って」
店の中から、まるで鈴の音みたいな綺麗な声がして。
現れた女性が、迷わずその子の前に膝まづいた。
「あれ？これ、あなたのじゃない？ポケットに引っかかってたわ」
そう言って微笑んで。
マジックみたいに握った手をくるりと返して開くと、
そこから現れたのは小さく折りたたまれた紙幣で。
「え？」
「これで足りるわよね？ナナさん」
「え？ええ、はい」
ふふ、と優しく笑ったその人は、その白くて細い指先でその子の頭を撫でて、
「オンマの病気、早く良くなるといいわね」
と言った。
「おんに、ありがとう(泣)」
じっと見つめるオレに気づいた彼女はハッとして、はにかんで微笑むと立ち上がった。
気がつくと、オレの後ろにいた数名のお客から自然と拍手が起きて。
恥ずかしそうに顔を赤らめて奥に消えていった彼女。
その時、オレの心の水面に小さな雨水がポトリと落ちた。
そう。オレは彼女に、一瞬で恋に落ちた＿＿
*
03:タイミング〜dh〜→←01:Where is she……
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りゅう(プロフ) - さくらこさん、ステキなお話をありがとうございました♪ブラックドンヘ？？と思いながら読み始めましたが、ステキなラスト♪ほんまにさくらこさんのドンヘをはじめとするメンバーへの愛が溢れてました♪またお話楽しみにしてます♪暑いからお身体ご自愛くださいませ♪♪ (2015年8月7日 15時) (
レス) id: 8614525c3d (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ちかさん» ちかさん、コメントありがとうございますm(_ _)mトゥギもドンヘも実際どんな感じなんだろう…妄想の中だけでも、こういう人なんだと思いたいですよね〜。これからもたのしんでいただけるように頑張ります！ (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - よぅちゃんさん» よぅちゃん、コメントありがとうございますm(_ _)mコメント欄がトゥギを偲ぶコメントで溢れて…いつかちゃんとトゥギも幸せにしてあげなきゃね^^; (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - さるるんさん» さるるんさん、コメントありがとうございます！お、さるるんさんのお話読ませていただいてますよ！嬉しいいです！ (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん、コメントありがとうございます！レス遅くなってごめんなさいm(_ _)mトゥギは私のお話の中でいつもこういう役回りなのでちゃんと幸せにしてあげないといけないですよねwwいつかトゥギも書けるかな^^; (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくらこ
| 作者ホームページ：http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時：2015年5月26日 15時
