09:危険な香り〜dh〜 ページ9
*
「え…？」
「だって、凄く濡れてる。風邪ひいちゃうといけないから」
「……」
なぜかそのバスタオルを受け取っちゃいけない気がして。
だって。
ヌナの香りがするタオルなんて、危険以外の何者でも無いじゃないか。
「どうしたの？」
「……いい、帰るから」
「…え？」
その時…
帰るって言った俺を見つめるヌナの瞳がなぜか少しだけ揺れていて。
まだ時々窓の外で鳴る雷のせいなのか、
ますます激しくなる雨への不安からか、
点かない明かりのせいなのか。
いや、本当は。
そんな事じゃなく、俺を必要としてくれてるんじゃないかって
そんな期待とも希望とも違う何かが俺の心を侵食していく。
「風邪……引いちゃうからちゃんと拭いて？」
そう言って、びっしょり濡れた左の肩の辺りにタオルを押し付けられて
咄嗟にその手を払いのけた。
「どうしたの？ちゃんと拭かなきゃ…」
「いい」
「ダメよ、叱られちゃう」
「……誰に？」
「……ジョンスに…」
ヌナの口からトゥギヒョンの名前なんか聞きたくなかった。
バスタオルを持ったヌナの手を掴むと、足元にばさりとタオルが落ちて。
「ﾄﾞﾝﾍさん…？」
不安げに見上げるヌナ目が合えば、もう無理だと思った。
「ヌナは…ズルい」
「……え？」
「俺がどんな思いでいるかわかる？」
「どういう意味…？」
「どういう意味……？こういう意味…」
掴んだ手首を引き寄せて、空いた方の手で首の後ろを掴むと
そのままヌナの唇を食むように口付けた。
「……んっ」
初めて触れたヌナの唇は柔らかくて、少しだけひんやりしてて。
気づけば夢中で貪ってた。
「んっんんっ……」
胸を押すヌナを壁際に追い込んで閉じ込めて。
呼吸さえ奪うように口付けて…
「や……っ」
「ヌナ…」
「やめて…」
「ごめん、ムリ…」
張り付くように纏わり付いてるヌナのカットソーを無理やり脱がせて。
柔らかい膨らみをつつみこんだら、ヌナの唇から甘い吐息が漏れる。
壁に押し付けたまま、スキニーのウエストから強引に手を突っ込んだ。
「ダメ…っ」
「でもこんなになってる」
「や……っ」
「ヌナ…好きだよ」
「…え…？」
「ずっと…好きだった。初めて会った時から」
「ウソ…」
「ホント…だから」
お願いだから、
一度だけ俺のものになって…
段々近づいてくる雷の稲光が時折部屋の中の2人を照らす。
まるで雷と雨音が俺たちを隠すかのように一晩中降り続いた。
*
10:キーワードは雨〜dh〜→←08:天使からのプレゼント〜dh〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 661人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りゅう(プロフ) - さくらこさん、ステキなお話をありがとうございました♪ブラックドンヘ？？と思いながら読み始めましたが、ステキなラスト♪ほんまにさくらこさんのドンヘをはじめとするメンバーへの愛が溢れてました♪またお話楽しみにしてます♪暑いからお身体ご自愛くださいませ♪♪ (2015年8月7日 15時) (
レス) id: 8614525c3d (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ちかさん» ちかさん、コメントありがとうございますm(_ _)mトゥギもドンヘも実際どんな感じなんだろう…妄想の中だけでも、こういう人なんだと思いたいですよね〜。これからもたのしんでいただけるように頑張ります！ (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - よぅちゃんさん» よぅちゃん、コメントありがとうございますm(_ _)mコメント欄がトゥギを偲ぶコメントで溢れて…いつかちゃんとトゥギも幸せにしてあげなきゃね^^; (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - さるるんさん» さるるんさん、コメントありがとうございます！お、さるるんさんのお話読ませていただいてますよ！嬉しいいです！ (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん、コメントありがとうございます！レス遅くなってごめんなさいm(_ _)mトゥギは私のお話の中でいつもこういう役回りなのでちゃんと幸せにしてあげないといけないですよねwwいつかトゥギも書けるかな^^; (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくらこ
| 作者ホームページ：http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時：2015年5月26日 15時
