21:捨てようとした想い ページ21
*
ジョンスはそれから夜までいてくれて。
仕事があるからと、遅く帰っていった。
翌日も、その翌日も。
仕事の合間や終わってからの少しの時間にも来てくれて、
甲斐甲斐しく看護をしてくれた。
その間熱は何度か上がったり下がったりを繰り返して
やっと、3日目の朝起き上がることができた。
「ナナさん、ごめんなさいね」
「いいんですよ！どうせ電気も今日にならないと直らないんだし。
もう良くなりました？」
「もうすっかり。ほんとにごめんなさい」
「ジョンスオッパのおかげかな？凄く大切にされてますね」
「……」
それがツラくて…
あんな事をした私を、ジョンスは知らない。
知られちゃいけない。
あれは、夢だったんだと思わなきゃ。
ジョンスに優しくされるたびに、罪悪感で涙が溢れる。
でも、ジョンスの笑顔を見るたびに、はにかむような笑顔のﾄﾞﾝﾍさんを思い出す。
「あ〜、これダメですよね。捨てちゃいます？」
「……え？」
「これ。冷蔵庫の中、腐ってます」
「…そうね。捨てましょ」
そう。捨てなきゃ…あの日の事は全部。
なのに…
バッグの中で震える携帯。
店のBGMに消されてジョンスは気づいてない。
電源を落としておけばよかったと後悔しても遅い。
しばらくして切れてホッとしたのもつかの間、今度はジョンスの携帯が鳴る。
まさか？
「ﾄﾞﾝﾍ？？」
やっぱり…
ジョンスは小さな声で「ﾄﾞﾝﾍからだよ」とエクボを作る。
小さく頷くけど…
うまく笑えてない事、どうかジョンスが気づきませんように…
誰にでも優しいジョンスをもうこれ以上裏切れない。
二度とﾄﾞﾝﾍさんとは会わない、
会わなければきっと、忘れられる。
そう決意した。
「まったく…あいつって本当に寂しがり屋でさぁ」
ﾄﾞﾝﾍさんからの電話を切って、ふう、とため息を吐いて笑うジョンス。
「どうしたの？」
努めて明るく聞き返したけど、返ってきた言葉は私の決意を一瞬で崩す。
なぜ？どうして？
ﾄﾞﾝﾍさんは自ら危険な事をするの？
冷や汗が背中を伝うのがわかる。
少しして現れたﾄﾞﾝﾍさんを見た瞬間、捨てようとしてたはずの思いが溢れる。
雨に濡れた髪や服を店の人が持ってきてくれたタオルで軽く拭きながら
ジョンスと軽いジョークを交わすﾄﾞﾝﾍさんは至って普通なのに、
私はといえば時々同意を求められて作る笑顔も限界で。
私は今から死 刑執行を待つ囚人の気持ちだった。
*
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りゅう(プロフ) - さくらこさん、ステキなお話をありがとうございました♪ブラックドンヘ？？と思いながら読み始めましたが、ステキなラスト♪ほんまにさくらこさんのドンヘをはじめとするメンバーへの愛が溢れてました♪またお話楽しみにしてます♪暑いからお身体ご自愛くださいませ♪♪ (2015年8月7日 15時) (
レス) id: 8614525c3d (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ちかさん» ちかさん、コメントありがとうございますm(_ _)mトゥギもドンヘも実際どんな感じなんだろう…妄想の中だけでも、こういう人なんだと思いたいですよね〜。これからもたのしんでいただけるように頑張ります！ (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - よぅちゃんさん» よぅちゃん、コメントありがとうございますm(_ _)mコメント欄がトゥギを偲ぶコメントで溢れて…いつかちゃんとトゥギも幸せにしてあげなきゃね^^; (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - さるるんさん» さるるんさん、コメントありがとうございます！お、さるるんさんのお話読ませていただいてますよ！嬉しいいです！ (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん、コメントありがとうございます！レス遅くなってごめんなさいm(_ _)mトゥギは私のお話の中でいつもこういう役回りなのでちゃんと幸せにしてあげないといけないですよねwwいつかトゥギも書けるかな^^; (2015年8月1日 11時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくらこ
| 作者ホームページ：http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時：2015年5月26日 15時
