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「Aさんのこと、大事にします」
ジョングクくんの言葉に、体中が熱くなって、目頭に涙が溜まるのを感じた。
私には、こんなどうしようもない私には勿体無すぎる言葉。
本当はダメなのに、嬉しすぎて今すぐ抱きしめて、「はい」って答えたい。
だけど、やっぱり、どうしても心のどこかでもう一歩を踏み出せないでいる。
目線を下にして、黙って歩みを進める。
私じゃあ、
…ジョングクくんには、私じゃダメなんだ。
…なんて、考えるのはもうやめようか。
5年前、本当に短い間だったけれど、ジョングクくんと過ごしたあの時間は幸せだった。
これからは、そればかりではないだろうけれど、
ジョングクくんのことを信じてみよう。
それでうまくいかなかったら、両親には孫のことは諦めてもらうしかない。
「ジョン、グク、…くん」
久々に呼び止めた気がする。
いつも、画面越しで、テレビの向こうで笑いかけてくれる彼が今は目の前にいる。
立ち止まって、私の目を見てくれている。
「…よろしくお願いします」
そう答えると、あの大好きな笑顔で笑いかけてくれる。
「本当ですか?」
なんて言いながらも、ぎこちない手つきで握りしめる私の手。
あぁ、好きだな…
自然と心の中でつぶやいていた。
その気持ちを込めてぎゅっと手を握ると、もっと強く握り返される。
男らしくて、ゴツゴツしてて、あの頃より大人になってな。
「…ヌナ、」
ヌナ?!
「…今日泊まって良いですか?」
とま、?!
衝撃が二つ同時に来て、頭が真っ白になり思考停止した。
そんな私をよそに、ジョングクくんは恥ずかしそうに鼻をかいている。
「ずっと、触れたくて。今日もずっと我慢してた」
そんな寂しそうにするウサギみたいな目で見つめてこないで。
断れないじゃん。
わざとらしいため息をつくと、ジョングクくんがビクッとしたのを見逃さなかった。
可愛くて仕方ない…。
「…何もしないなら、いいよ」
年頃の男子には拷問のようだろうけど、ごめんね。私は明日も仕事があるの。
なのに、
「約束はできません」と、ドヤ顔で返された。
だから一発、わき腹にお見舞いしてやった。
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“どうしても君じゃなきゃダメなの。
そばにいて。”
(BLACKPINK - STAYより抜粋)
愛し方は人それぞれ。3【完】
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Haylee :D(プロフ) - のん民さん» のん民さん、ありがとうございます!軽く号泣してます嬉しすぎて(TT)どうしようか迷った末にあのように終わらせました。一番綺麗でしっくりきたので笑こちらこそ読んでくださりありがとうございます!評価もありがとうございます(TT)これからも宜しくお願います! (2018年5月31日 0時) (レス) id: 0356daf5fa (このIDを非表示/違反報告)
のん民(プロフ) - PS.評価を押させていただきました。ぴったり200票目でした(笑) (2018年5月30日 3時) (レス) id: 4b35232376 (このIDを非表示/違反報告)
のん民(プロフ) - なんだかとても大人っぽいもどかしい感じの恋物語で、普段はそこまで好まないのですが、なぜだかとても味わって読ませていただきました。最後、主人公さんの返答を書かないのが、とてもいいなぁと思いました!素敵な作品を作っていただき、ありがとうございました。 (2018年5月30日 3時) (レス) id: 4b35232376 (このIDを非表示/違反報告)
Haylee :D(プロフ) - のんさん» 笑笑 いえ、20代なったばっかです笑笑 (2018年5月17日 3時) (レス) id: 0356daf5fa (このIDを非表示/違反報告)
のん - 作者さん30代なんですか? (2018年5月6日 1時) (レス) id: 2bf35c0a63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haylee :D | 作成日時:2018年4月22日 20時