Glycine ＜code blue>

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耕作の押してくれる車椅子が心地よくて。
少しうとうとしていたら、急に止まった。



藍「 おい。着いたぞ。」



大翔くんは静かに眠っている。
頰の血色もだいぶ良い。


藍「 自発呼吸も出てきてる。
そろそろ目覚ますだろう。」


「 そう…。良かった。ほんとに。」




「 大翔くん_________。
君の帰りを待ってる人がいる。
君に生きていてほしいと願う人がいる。
君の事を心から心配してる、家族がいる。


それって、奇跡なんだよ。
だから、早く起きてね。」






そっと彼の頭を撫でて、ICUを出ようとした時。



『 _____紅谷、先生ですよね？』




「 大翔くんの、お姉さん…。




ごめんなさい。私が助けるって言ったのに。
こんなになっちゃって。
約束、守れなかった。」




『 先生？






何言ってるんですか。
確かに、最終的に大翔を救ったのは藍沢先生
とか白石先生かもしれない。



___でも、先生は、私の叫びに耳を傾けてく
れた。危険なのにテントの下に弟を探しに行
ってくれた。あの子を、庇ってくれた。

あの子を助けたのは、貴方です。
大翔だけじゃない。私も。

自分の身まで危険に晒して。
ほんとうに、ありがとうございますっ…

怪我、大丈夫ですか、、、？』






「 大丈夫だよ。藍沢先生が治してくれた。





貴方、たった一人の家族だって、言った。

たった一人でも。

大切な人が居るって、奇跡なの。

私たちは、いつ大切な人を失うか分からな
い。

私はっ______その痛みを知ってる。

大切な人を残してこの世を去るのは辛い。

でも、大切な人を守れずにっ______それを

抱えて生きていくのは、もっと辛い。



貴方はまだ若い。
高校生でしょう？

そんな辛さなんて知らなくて良い。
いや…知らない方が良い。



そして、私にはそれを回避する術があった。


だから行動に移しただけ。


感謝されるほどの事じゃないわ。




でも。
一つだけ言っておきたい。




今、伝えなきゃいけない言葉って、あると
思う。

だから、


大翔くんが起きたら、伝えて？
貴方が伝えたかった事を。」

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