Dyed white

君の色 ページ47

大貴side


雄也「珍しいね、自分から海行きたいなんて。ついにこの兄貴の影響を受け始めて、いい男になろうってか？」







にやにやとちょっかいを出してくる雄也に、肘で突き返す。








大貴「違うってば。折角だから、この目でもう一度いのちゃんに会いに行こうって思ったのー！！」









車内には、相変わらず暖かい空気が流れる。








雄也と、山田と、光くんと、俺と。








行きたかったのは、いのちゃんと2人きりで来たあの海。








光「もうすぐだよ！大ちゃん！」








猫のストラップと鈴がまた、ちりりんと鳴る。








光くんに手を引かれ、真っ白な砂浜の上で空を見上げる。








雄也と山田が後ろから走ってきて、まるで追いかけっこみたい。








雄也「ほんとだ…繋がった……」








夕焼けに染まるオレンジの空と真っ青な海が、太陽と手を取り合って繋がった。









俺がいのちゃんと見た景色って、こんなに鮮やかだったんだ。








すごくすごく綺麗だよ。







何度でもここに来るよ。







何度でも会いに来る。








地平線が消え、空と海を繋ぐこの場所は、空にいる君と此処にいる俺を何度でも繋いでくれる場所。








気づいたら、もう空は暗くなり始めていて、あの時みたいに一番星が輝き始めた。









光「ねぇ！あれ見て！」








光くんの指差す方には、きらきら光るヒカリの洞窟。








大貴「行こうか。蛍の見える洞窟。」







光「うんっ！」







嬉しそうな笑顔が、いのちゃんによく似ている。








蛍の洞窟に無数に散らばる光、自然の産物。








目のレンズが、“色”を細かく教えてくる。








「幸せを運ぶ、蛍。大ちゃんは、蛍。」









また、いのちゃんの声が聞こえた。









……ふふ、いのちゃんも俺にとっての幸せを運ぶ蛍なの、気づいてる？







いつか、気づいてくれたらいいな。









____見えたのは白でも黒でもない、鮮やかなイロ。









『Dyed White』___fin.

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