Dyed white

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雄也side

おぶって病室に戻ると、ベッドに潜ってすぐ眠った大貴。







頬にはまだ、涙の跡が残っていた。






山田くんは、そんな彼を優しく見つめていた。








薮「雄也。」








大貴の頭を撫でていると、薮くんに声を掛けられ山田くんと共に顔を上げる。









薮「正直、いつ目が見えなくなってもおかしくない。移植の話もしたけど、リスクが高いし、世界的に少ない病気ということもあって、うまくいったという事例は、今はない。」









雄也「そうですか……」









兄としては、大貴にはあまり辛い思いをさせたくない。









今まで沢山苦難の連続だったから。









薮「そこで、新薬の治療が有効かと思うんだ。実は、移植の裏で、新薬の開発が進んで、今この病気を治せる可能性が高いと言われているのがある。」









薮くんが大貴に目を向ける。








薮「失明してしまったら、薬の治療はほぼ無意味になる。今、大貴くんの視界はモノクロにしか見えない上に、霧がかかったように白く見える。こんなこと言うのは酷だけど、効果を得ても得られなくても、これが最後のチャンスだと思う。」









俺は下唇を噛んだ。









この世に見える景色を失うか、死ぬかもしれないリスクを背負ってでも新薬の治療をするか。








雄也「一度、大貴と話し合います。」








薮くんは頷くと、静かに病室を後にした。








「……俺、やる」







か細い、小さな声が、俺の耳にやけに響いてきた。

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