… ページ37
慧side
熱が高い。
ぼーっとする。
それでも屋上に来たのは、外の空気が吸いたかった、ただそれだけの理由。
病院の中は真っ白で、無機質で、息が詰まるんだもん。
屋上に出て、大ちゃんの姿を見た時、なんかホッとしたんだよ。
大ちゃんは、俺の溜めに溜めてきた後悔や劣等感、悲しみを全部吐き出させてくれた。
優しすぎる声が、全部受け入れてくれた。
ああ、もう分かったよ。
大ちゃんの過去を聞いて、全てが繋がった気がする。
慧「ねえ、大ちゃん。その男の子は…俺、だと思う。」
大ちゃんの方を向くと、目線が交わった。
驚きと戸惑いが混ざったような表情で、俺を見ていた。
弟ができた喜びからか、弟が産まれた頃の記憶は妙に覚えている。
慧「ふさふさのストレートヘアの子、だったかな。ありおかだいき、そう俺に答えた。お母さんに手を引かれながら、俺に手を振ってきたのは、きっと大ちゃん。」
大貴「…っ」
慧「大ちゃんが去り際に落としたコレ。」
ポケットから取り出したのは、小さな赤と黒のミニカー。
大ちゃんの手の上にポンと置いてやる。
大貴「これ、俺のお気に入りの、無くしたと思ってた…」
慧「なんでか、ずっと持ってた。」
俺が寂しかったのは、無意識のうちに求めていたからかもしれない。
昔からあまり変わらない優しい声と、昔より控えめな笑顔を。
“またね”
その約束が、何年もの時を越えて果たせた。
大貴「…いのちゃん!」
大ちゃんの声の後、大ちゃんの腕の中に包まれた。
体の力が抜けて、倒れそうになったのを支えてくれたんだ。
安堵したからか、熱がある中ここに来たからか。
…多分後者だな。
大貴「急いで助け呼ぶから!」
その切羽詰まった大ちゃんの声を最後に目の前が暗くなった。
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のん - アオイヨルさん» ありがとうございます!何卒よろしくお願いいたします!これからも更新楽しみにしています♪頑張って下さいね☆ (2021年6月8日 9時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
アオイヨル(プロフ) - のんさん» のんさん、お久しぶりです。大好きと言っていただけて、光栄です。新作の提案、ありがとうございます。是非、検討させていただきますね。 (2021年6月7日 20時) (レス) id: 64f54fb5df (このIDを非表示/違反報告)
のん - アオイヨルさん» アオイヨル様に、だいぶ気が早いですが、新作の提案です!リアル設定で、大ちゃんの精神系が読みたいです!子役の頃から頑張ってきた彼。周囲に気を使い過ぎてとうとう心が限界を迎えてしまう的なのが読みたいです!ご検討よろしくお願いします! (2021年6月7日 18時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
のん - アオイヨルさん» お久しぶりです!私、有岡君のこういうお話、大好きです♪次回の更新を楽しみにしております☆ (2021年6月7日 18時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
アオイヨル(プロフ) - ゆきうさぎさん» お久しぶりですね。コメントありがとうございます…!うまく書けるかわからないですけど、よろしくお願いします。 (2021年6月6日 16時) (レス) id: 64f54fb5df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオイヨル | 作成日時:2021年6月6日 12時