… ページ32
大貴side
よたよたと頼りなく立ち上がると、倒れた丸椅子を立て直す。
床に落ちた紙コップを細い指が拾う。
紙コップから溢れた水は、小さな水溜りを作っていた。
誰かの涙を、あらわすかのように。
大貴「俺が拭くよ。」
明らかに立つのがしんどそうないのちゃんを椅子に座らせて、近くのタオルで拭き取っていく。
こんなにも綺麗に、いとも簡単に、涙を拭えてあげられたら、悲しみを拭えてあげられたら、
どれだけ素敵なことだろうか。
いのちゃんの横に椅子を持ってきて座ると、いのちゃんは、ベッドに横たわる男の子の頭を優しく撫でた。
慧「かわいいっしょ。俺の弟、ひかるって言うんだ。」
大貴「うん、可愛い。」
汗で張り付いた前髪。
慧「光はね、原因不明の症状によく襲われるの。頭痛、熱、喘息に似た症状なんかもね。」
大貴「…うん。」
慧「風邪に似た症状が多いし、合併症を引き起こすことも殆どないけど、拗らせると良くないんだ。いつ症状出るかも分からない。だから、ずっと入院してるの。」
細い指が、光くんの頬を撫でる。
慧「光は、俺が守んなきゃ。…ごめんね。」
なんで謝ったのか、俺には分からなかった。
光「うぅ…けい…」
慧「ここにいるよ。」
ぎゅっと手を握るいのちゃんはすごくお兄ちゃんだった。
彼に、命の期限が迫ってきているとも知らずに、その儚い横顔に、見惚れていたんだ。
241人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のん - アオイヨルさん» ありがとうございます!何卒よろしくお願いいたします!これからも更新楽しみにしています♪頑張って下さいね☆ (2021年6月8日 9時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
アオイヨル(プロフ) - のんさん» のんさん、お久しぶりです。大好きと言っていただけて、光栄です。新作の提案、ありがとうございます。是非、検討させていただきますね。 (2021年6月7日 20時) (レス) id: 64f54fb5df (このIDを非表示/違反報告)
のん - アオイヨルさん» アオイヨル様に、だいぶ気が早いですが、新作の提案です!リアル設定で、大ちゃんの精神系が読みたいです!子役の頃から頑張ってきた彼。周囲に気を使い過ぎてとうとう心が限界を迎えてしまう的なのが読みたいです!ご検討よろしくお願いします! (2021年6月7日 18時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
のん - アオイヨルさん» お久しぶりです!私、有岡君のこういうお話、大好きです♪次回の更新を楽しみにしております☆ (2021年6月7日 18時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
アオイヨル(プロフ) - ゆきうさぎさん» お久しぶりですね。コメントありがとうございます…!うまく書けるかわからないですけど、よろしくお願いします。 (2021年6月6日 16時) (レス) id: 64f54fb5df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アオイヨル | 作成日時:2021年6月6日 12時