Dyed white

避けられないから ページ17

慧side


起きたらもう日が沈み始めてた。




うわ、俺どんだけ寝てんだよ。




腕で目を覆う。





ふぅ、とため息混じりの深呼吸。





大貴「いのちゃん…」





ぱっと顔を上げると、控えめに入ってくる大ちゃんがいた。





慧「大ちゃん、体調はどう？」





大貴「もう平気。いのちゃんは大丈夫なの？」





吐き気も眩暈も気づけばなくなっていた。





慧「大丈夫。心配するなって。」





そう言って笑うと大ちゃんは俺の頭をそっと撫でた。






大貴「無理しないでね。」






俺が強がっているからか、それとも単に体調が悪いからか、はたまたこの両者ではないのか。





大ちゃんの言葉からは、どんな風にも読み取れるような気がした。





慧「うん、大ちゃんも。」





大貴「俺、お迎え来ちゃった。また明日ね！」





さっきまで伏せがちになっていた優しい目は、ぱっといつも通りに。





慧「また明日。」





俺が手を振ると、名残惜しそうに俺を振り返りながら、保健室を後にした。





慧「はぁ…だせえ奴」





思わず一筋の涙がこぼれた。





後輩に心配される、病気持ちの弱い先輩。





そんな風に頭の中で変換してしまう自分が憎い。





大ちゃんは本当に純粋に俺を心配してくれてるだけだって分かってる。





でも、俺自身は優しくされるほど、いい人間じゃないから。





慧「…行くか。」





重い体を起こして、今日も決まった場所に向かう。

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