Dyed white

… ページ16

慧side


慧「分かったからさ、取り敢えずベッド戻ろ？」




流石にこのままの状態じゃ大ちゃんも体調悪くなりっぱなしな気がする。





大貴「うん…っ」





よろよろと立ち上がる大ちゃん。





大貴「ごめ…ありがと山田」





山田「ん」






隣にいる彼は大ちゃんをずっと支えたままだ。





…山田っていうのか。





隣のベッドに戻った大ちゃん。





体調悪いことに無視を決め込み、ベッドサイドに椅子を持っていって座った。





慧「あのね…俺…その…」




やっぱり詰まる。





このことは知念以外学校の人には話してないし、話す必要すらないと思ってたんだから。





大貴「うん…？」





俺の手をぎゅっと握ってくる大ちゃん。





俺と同じくらい、冷え切っていた。





慧「俺…腎臓病なの…っでも、治療はしてるし、まだ全然遊べるし…」





嫌われるんじゃないか、軽蔑されるんじゃないか。





気付いたら言い訳のような言葉が早口で出てきた。





大貴「どうしたの？いのちゃん。焦んなくていいよ。大丈夫。俺はこの手を離さない。」





そう言ってまた手をにぎにぎしてくる。





山田「あのー、俺も一緒にいていいっすか？やっぱり、伊野尾先輩のことって俺すっごく憧れてましたし？」





なんで疑問形なの？って大ちゃんが突っ込んでる。





慧「こんな俺でよければ。」





山田「え！まじ！めっちゃ嬉しいんだけど。え？友達に自慢していい？」




今にも飛び上がりそうなくらいの山田くんに、大ちゃんがうるさいって優しく笑った。




慧「…っ…」





体調悪いの忘れてたー…




くらっとして後ろに倒れかかった体を支えてくれたのは知念だった。





知念「何おしゃべりしてんの。いのちゃんも体調悪いよね？」





毒舌なときの知念の顔してる。





慧「はい…」





大貴「あ、ごめんね？やっぱり体調悪かったんだよね…」





慧「気にしな…」





知念「気にしなきゃダメです。」





慧「はい…」





知念「大貴もちゃんと寝てて。」





大貴「はーい…」






知念にベッドまで連れて行かれ、ご丁寧に布団までかけられ、少しの眩暈と気持ち悪さはあったけど、眠りについた。

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