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# ページ21
「神ちゃんっ…！」
「しげっ…」
玄関で待っていた神山。
帰ってきた重岡にすぐに抱きついたが、
以前のように体が元に戻ることはなかった。
「しげ、これ、受け取って」
「え…あ、指輪？」
「うん、はやくっ」
幸いなことに左手はまだ消えていなくって
お互い左手の薬指にぴったりだった。
「これっ…って…」
「もしさ、しげがドッペルゲンガーじゃなく
普通の人間に生まれ変われたら…
その時は絶対ずっと一緒におろう？約束っ」
そう小指を差し出した神山は
今までで一番輝いている笑顔を見せた。
「おんっ…もちろん。絶対やでっ」
そう泣きながらも頑張って笑顔で
小指を絡めた重岡が、
神山がみた最期の重岡の姿だった。
「なんでっ…おれって恵まれないんやろな…」
重岡がいなくなった玄関で
膝から崩れ落ち涙を零した神山。
次に神山が顔を上げたのは
月が綺麗に輝いて見える時刻になっていた。
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作者名：緑のシルクハット | 作成日時：2018年1月7日 18時
