負けず嫌いな女の子VSぶりっこ女の子 ４

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智「はよ言えって」





ゆっくりと智くんのほうへ引き寄せられ、マジかにともくんの顔。


うちが言わないことにしびれを切らし、口調があらくなる智くん。




もし、杳ちゃんがやったって言ったら？


智くんはきっとメンバーに言うやろ？



そしたら、メンバーは杳ちゃんに強く当たってしまう。

それが嫌やから。


他のグループとこれ以上の亀裂が入ってほしくないから。


なら、嘘で隠し通すべき？



それを智くんは望んでいるやろか？

きっと望まんはずやねん。



でも、杳ちゃんのため、メンバーのため。


そう考えてくると、嘘をつかなーアカン状況になってしまった。





智「はよ」





「これ、芽依にやられたやつやねん、心配せんでも平気やで？


　最近芽依に会うようになってもうて」





智「そんなわけないやろ？」





いつも優しい智くんがここまで怖いのは久々で。


肩を震わす。



睨むような目つきをした智くんが、うちを見てくるから目に涙をためることしかできひん。





智「なんで泣いてるん？そんなに痛いん？」





首を横に振る。



そんなんじゃない。

痛いんじゃない。


怖い、杳ちゃんに知られた時のことを考えると。

目の前のものがすべてなくなりそうで。

目の前のもののすべての色がなくなりそうで。





智「本当に芽依にやられたん？ちゃうやろ？」





「…………やられた」





小さな声で、言ったはずなのに。


智くん、なんでこんなにもうちのことが分かるの？

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