色付き7つの診療室【J西】 (ページ21)

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赤 said

「今日の夜、一緒に買いに行くか、バレンタインのお返し。」

ええんですか？！と興奮気味な大吾を横目に神ちゃんに今日いっしょに帰れんとメールを送る。きっと既読はすぐにつかないから、すぐにスマホを閉める。駅にある大きなデパートなら目当てのものも見つかると思う。

望「神ちゃんは俺が迎えに行くわ。」

「ん、頼んだで。」

唐揚げ定食の味噌汁はぬるくなってて喉を通しやすい。ここの味噌汁は合わせみそだが、俺は神ちゃんが俺のために作るニラが仰山入ったかつおだしベースの白みその味噌汁よりもおいしいものを飲んだことがない。食器の返却口に食器を返し、大吾の背中を叩く。

「赤色の姫喜ばせるで。」

まずは午後の診療を頑張るために院長室に潜りこんでともの口でも奪ってこようかな、と院長室にキーを通し、資料を立ち読みする神ちゃんの首に手を回し、振り向く時に唇を塞いで少し甘えたな声を出した。

「と～も、充電させてやぁ。」

智「んも、結局ここ来るならメールせんでよかったやんか。」

「もっとちゅーしようや、な？」

許可ださんでもやるくせに、なんて言葉を右から左に聞き流し、ついばむようなキスからゆっくり壁まで追いやり深々と食べるようにキスする。知ってんやで、ちゅーすんの大好きで今だって気もちくてたまんないって俺のシャツの裾引っ張って伝えてくれてるんやろ？フードが赤いダボっとしたパーカーから手を入れて横腹をなぞると、とろっとした顔で俺の方みてきてほんまかわええなぁ。

「あかん、止まれへんくなってまうわ、」

智「……続きは今度な、約束。」

「そういえば、大吾が意を決するらしいで。」

智「やっとか、もどかしかったもんなぁ」

「とも、」

智「大毅？」

「あんときは意気地なしで困らせてごめんな。」

智「ほんまや、でも今は愛してくれとるんやろ？」

「当たり前や！愛されとるって自覚あるやろ？」

智「ずるいわほんま、五歳児のくせに」

「やかましいわｗ」

お互い気を引き締めなおし、神ちゃんと一緒に院長室を出る。今日は寝るまで離れてるから、ちょっと寂しいかもしれへん。それは俺だけやなく神ちゃんもやと思う。俺より少し小さいその背中は何よりも頼りになって、いつまでも追いかけたいものやけど、俺は唯一そんな神ちゃんの隣にいていいという人やから、生涯をかけて守り抜きたいねん。神ちゃんを送った後の赤い扉の前で俺は息を吸う。

「午後も人救いますかっ。」