色付き7つの診療室【J西】 (ページ17)

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桃 said

流「自分の持ち場行く前に、こっち寄ってくれへん？」

従業員用勝手口から入り、ロッカーで白衣を着る。この時間はまだ看護師さんも夜番の方以外出勤しとらんから、ここには一緒に出勤してきた俺と流星しかおらんねん。流星の筋肉質やないスラっとした体に型によって作られたそのフォルムは似合いすぎる。流星との付き合いは俺が一番長いから、顔色を伺えばイヤな予感がしたのか肩が持ち上がる。目を伏せ、流星についていくと診療室同士をつなぐ裏の通路との間のカーテンも閉められ、簡易的な二人だけの個室が作られる。俺はいつも患者さんが座っているであろうくるくる回る椅子に座らされた。流星は何も言わず俺のゆるっとしたズボンのすそをたくし上げる。足首の裏から冷たい手がするりと入り込み靴下を脱がせられる。露になった赤黒いそれは昨日の夜から俺が見て見ぬふりをしてきた足元。

流「なあ、これどうする予定ったん？」

滅多にない流星の怖い声、目を見ると普段見ることあらへんくらい怖い顔をしている。そこまで悪化してしまったのかと口ごもってると目の前が流星の顔でいっぱいになった。

「りゅうせ……っ」

流「答えろ。」

「そのままにしようって思ってました……。」

流「望は演技力高くて、簡単に騙されてしまうけど、自分の体は騙さんとってや。次はないで。」

そういうと手早く治療を進める流星。恋人が懸命に治療している姿に見惚れていると大きな声が聞こえた。

大「おいこら小瀧ぃぃぃぃぃぃぃぃぃい！！！」

カーテンを破れるんやないかという勢いで入ってくるしげ。うるっさいねんと神ちゃんもしげの頭を叩きながら入ってくる。神ちゃんの手には赤いタグが付いたしげの医療用バッグ。あたまを叩かれながら、俺の頭を叩いてくるしげ、なんかすげぇ複雑なんやけど。しげもまたお小言を言いながらベッドに用具を広げていく。

智「のんちゃん？次自分の症状伝えへんかったら、二週間自宅療養やからな？」

大「院長命令やから逆らえへんなぁ？」

この二人の悪魔みたいな微笑みにうなずくことしかできんやん。今回は流星が治療してくれるみたいで、俺の隣には神ちゃんがおる。しげはアシスタントに回るらしく、テキパキと道具出しをしてる。大学の時はようこの四人でおったな、なんせ空言のように考えていたら、唐突に頬をつねられる。

智「なんかこの感じ懐かしいやん、」

流「今度休み重なったら遊び行くか。」