色付き7つの診療室【J西】 (ページ11)

今日:8 hit、昨日:8 hit、合計:56,247 hit

＊ページ11

緑 said

「神山先生！！濵田先生が！！」

少し遅めの昼食をオペ終わりの流星と食べた後、自分の持ち場に帰ろうとすると大きな声で呼ばれる。いつも通りうるさいでなんて注意しようと思ったがそのあとの言葉に目を開く。これはかなりの非常事態だ。いや多分理解していた。ただ見落としていた点があった。”バカは風邪をひかない”そのことわざ通り、濵ちゃんは自分が限界絵お迎えても気づかへんほどの”バカ”やったことや。

リハビリテーション室に行くと、目を開けているが、ほぼ意識がない状態の濵ちゃんと最近流星のとこから移動になった男子高校生がおった。俺は呼んできた大橋に患者さんを病室に戻すよう指示した。

「濵ちゃん、すごい熱やな。ヘルプ頼んだ方がええな。」

もうとっくに午後の診療は始まってもうてる。やから今日非番の淳太にお願いして、来てもらうことにした。淳太の速さでも五分くらいでつくから俺は看護師の北野さんにお願いして必要なものを持ってきてもらうようにした。俺も二十分後には予約された患者さんがおるから、それまでに処置はしておきたいねん。淳太に説明する必要はなさそうやから、あとは家まで運んでくれるような人手が必要で、困っとったら先ほどの一言を思い出す。そういえば、流星が昼食中に、このあと一時間は休憩やって言っとたな。そう思うと行動することは決まるからすぐに移す。流星に連絡すると同時にグループのラインに今の濵ちゃんの様子とこの後の処置について簡潔に書いた。３人の既読がついてそれぞれから賛成の意を表すようなスタンプとともに濵ちゃんに対する心配の声が上がる。その時流星と淳太がリハビリテーション室に来た。息が上がった淳太を見ると結構な速度で走ってきたようで付いてない既読の主も簡単に推測できる。そのまま流星と淳太に濵ちゃんの状態を伝える。疲労による発熱。熱の出方によって、この短期間の大きいストレスによるものだと思う。

俺はそのまま業務に戻ったが、何かつかめるようでつかめへん問題に少し手がつかなくなりそうやったから、事務仕事を明日、非番の自分にまかせることにして家路についた。

照「どしたん、早かったやん。」

「ちょっと濵ちゃんが心配やってん。」

望「神ちゃん！まだ濵ちゃん熱下がらんねん。」

俺は濵ちゃんの弱り切った姿を見た。いつも優しく笑うその姿からは想像もできひん姿に、早く気づけなかった自分を恨めしく思った。