淳太くんと管狐さん ページ5
喫茶店【WEST】。
良くも悪くもごくごく普通の、ありふれた喫茶店。
“怪異”なんかとは全く縁もなさそうな、落ち着いた雰囲気の店。
俺は今、そんな店で働いている。
何故か、副店長という立ち位置で。
淳｢お待たせしました。｣
俺の主な仕事は、まぁウェイターやな。
料理や飲み物を運ぶ仕事。
それでも、竹筒は肌身離さず持ってる。
肩掛けは無理やから、腰に下げる形やけど。
淳｢お待たせしまし・・・うわっ？！｣
普通に仕事をこなしてても。
ミスする時は、ミスをする。
ただそれが、とんでもないミスの時もある。
たとえば、周りが引く程の勢いでコケたりとか。
淳｢す、すみません！ お洋服大丈夫ですか？！｣
｢ええ。・・・そっちこそ大丈夫？｣
淳｢何とか・・・｣
立ち上がり、周囲に謝る。
自分でも見事なコケっぷりやとは思ったけど、周りから見ても凄まじかったみたい。
四方八方から、同情の視線が凄い。
淳｢・・・・・・・・・。｣
こういうミスが起きる原因。
まぁ、もちろん純粋なミスもあるにはあるけど。
こんな時、大抵の原因は・・・
淳｢・・・やっぱり。｣
後ろを振り返ると。
そこには、鬼の形相でロープのように巻き付く狐。
そして、涙目の男の子。
よく見ると、男の子の身体はうっすらと透けている。
あ、この子絶対おばけや。
『・・・、・・・・・・、』
鼻を啜って、今にも泣き出しそう。
おばけはおばけでも、外見は10歳かそこらの男の子や。
これくらいなら、あんまり怖くはない。
淳｢さっきの、キミがやったん？｣
｢・・・・・・、｣
淳｢あんな、兄ちゃん仕事中やねん。仕事中は、邪魔したらアカンやろ？｣
｢・・・・・・、。｣
淳｢後で遊んだげるから、な？｣
｢・・・・・・ほんと？｣
淳｢おう。男と男の約束やで？｣
｢うんっ。｣
話してみたら、素直に受け入れてくれた。
なんや、結構カワイイ子やん。
淳｢・・・ちゅーことやから、照史も離したり？｣
照｢・・・・・・・・・。｣
淳｢な？ その子と遊んであげて。｣
照｢・・・・・・はーい。｣
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