お狐様と裁判所 ページ39
◆
淳「はぁ・・・・・・、」
溜め息。
身体が重い。
気がする。
・・・何も憑いてへんのに。
智「暗いなぁ淳太。もうすぐ照史帰って来るんやろ?」
淳「・・・たぶんな、たぶん。」
また溜め息。
照史が何処かに行ってから5日。
我ながら、どうしてこんなにも落ち込むのか・・・
智「もー・・・淳太はホンマに、照史のこと大好きやなぁ。」
淳「・・・そんなんちゃうし。」
さっきから、隣で俺を茶化してくるやつ。
コイツは神山智洋。
先の犬神事件の犠牲者のひとり。
今は犬神に仕える≪白稚児≫として、第二の人生を歩んでいる。
呪いによって死んだものの、本人は案外楽しそうやけどな。
大「神山くん、あの、そんな茶化したらアカンよ・・・」
そして、そんな彼の後ろに隠れるようにして俺を見つめているやつ。
彼は重岡大毅。
犬神事件の最初の犠牲者にして、いろいろな経緯があって、今は≪犬神≫そのものでもある。
とはいえ本人の気弱さも相俟って、呪いの憑き物というよりは怖がりな仔犬のようなやつ。
ふたりとも、生前は普通の高校2年生。
そのせいか、怪異となった今も、その自覚は無いようで。
今もこうして、公園で普通に話してる。
この街の名前を冠してるのに、全然人が来ない公園で。
淳「何処行ったんやろうな、照史のやつ・・・」
智「やっぱ好きなんや、照史のこと。」
大「いやだから、茶化したらアカンって・・・」
淳「はぁ・・・・・・、」
思考はぐるぐる回って、また戻る。
停滞して、やがて停止する。
・・・その、直前。
淳「・・・・・・?」
誰かの視線。
一瞬やったけど、たしかに感じた。
淳「っ、照史?!」
視線の残滓を追いかける。
角を曲がっていった、白い尾先。
それは間違いなく、照史のものやった。
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