≪01≫成り行き怪異探偵さん (ページ23)

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犬神と白稚児ページ23

犬神は、蠱術の一種や。
そして憑き物筋でもあり、呪いの道具でもある。

犬神の作り方は、こうや。
まず、生きた犬の首から下までを土に埋める。
そして餌を与えず、犬の飢えが限界まで来た時、その鼻先に餌を置く。
犬がその餌を食べようとする瞬間に首を撥ね、その首を箱に入れて術を掛けて祀り、犬神とする。
埋めた胴体はそのまま放置され、そこを人が踏むことで呪いを強くする。

・・・調べなきゃよかった。

淳｢・・・つまり俺は、その犬の胴体を、間違って踏んでたってことか？｣

照｢たぶんね。オレも気付かへんかったから、たぶん犬神が祀られてすぐの事やと思う。｣

淳｢なるほどね・・・｣

犬神ってのは結局、元は無害な犬や。
その犬を酷い目に遭わせて、尚且つ自分の勝手な都合で殺す。
・・・コレを作った奴は、一体どうしてこんな事をしようと思ったんやろう？

淳｢照史、とにかく探してみよう。犬の胴体の在処。｣

何であれ。
これはまさしく、≪怪異探偵≫の仕事。
そして同時に、ひとりの犬好きとしても、見過ごす事の出来ひん怪異。

照｢それにしても、犬神の呪いねぇ・・・｣

淳｢照史？｣

照｢いや、それにしては、さっきもあっさりし過ぎてたというか・・・｣

俺は、さっき犬神について知ったけど。
どうやら照史には、引っかかる事があるみたい。

照｢元々、犬神ってかなり強力な呪いのはずなんよ。｣

照史が言うには。

犬神の呪いは、埋められた胴体が踏まれる度に強固になっていく。
そして周りの人達には厄をもたらし、犬神筋の人間は相対的に裕福になる。
そんな犬神筋の人間は毛嫌いされるし、婚約等の関係は嫌厭される。
せやから犬神筋は、一族同士で関係を持ち、その血を濃くしていく。

でも今回は、何か違和感があるらしい。
呪いは濃くはないから、おそらくは最近作られた犬神。
それにしても弱過ぎる、と。

照｢なーんか、別のもんが混じってる気がすんねんなぁ・・・｣

淳｢・・・それも、確かめれば分かる事や。｣

何かがおかしい。
照史がそう言う時は、大抵とんでもない事に巻き込まれる。

そしてそれは、今回も例外ではなさそうや。