守りたいもの (ページ22)

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21話ページ22

「A。」

心の中で葛藤していたAに勝利は声をかけ、手招きをした。

淳太が勝利に銃を向ける。

「兄貴、待ってくれ。何でここまでする？兄貴だってAを傷つけたくないはずだ。」

「うっさいねん。Aが俺の所に来てくれたら済む話や。」

諦めたような表情をした勝利。

「A、行くんだ。」

「でも、みんなが！」

「いいから行け！」

いつの間にか空いていた裏口に押し込まれ、Aは工場から出てしまった。

行くしかない。そんな思いで、Aは走り出した。

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Aを追い出した勝利は淳太と向き合った。

「なあ、兄貴。やっぱり何かあったんだろ？」

「何もないわ。」

「じゃあなんで、今、俺がAを逃がすとき、俺をその銃で撃たなかった？」

「それは……。」

「Aを、本当は追ったりしたくないんじゃないのか？」

「うるさい！」

淳太は銃を撃った。

「……ってぇ……。」

銃の玉は勝利の腰を掠めた。

「俺はAを連れていかなあかんのや。」

淳太は裏口へ向かった。