18話 ページ19
「え?冗談やめてよ。お兄ちゃんが犯人?」
Aは、信じられないというように優太と淳太を交互に見る。
「お兄ちゃん。ねえ、嘘だよね?お母さんを助けてくれるんだよね?」
嘘であってほしい。そんな希望を抱いていた。
「なーんや。幼馴染くんは知っとったんか。」
淳太の目は、助けに来た時の目と180度変わっていた。
「……お兄ちゃん?」
淳太はフフッと笑うと、優太に拳銃を向けた。
「クソッ、拳銃まで持ってたのかよ。」
「幼馴染くんもアホやなぁ?何もせんかったら助かるところを……。わざわざ俺の邪魔しに来たんやから。」
「お兄ちゃん……、本気?」
「本気もなにも、大事な大事な妹を迎えに来ただけなんやで?Aは、何も考えずに、お兄ちゃんについてきたらええよ。」
「バカなこと言うなよ!宮近さんの工場までボロボロにしやがって、冗談じゃねえよ!」
「幼馴染くん、ちょっと落ち着きよ。あれは、ただの事故やで?ちっさな工場やから、あそこまで被害が出ただけやろ?」
嘲笑う淳太に、Aはとても腹が立った。
「お兄ちゃん、それ本気で言ってるの?」
「本気もなにも、事実やからなぁ?」
「例え、お兄ちゃんだとしても許せないよ!宮近さんは、困ってた勝利を雇ってくれた優しい人たちなんだよ?母子家庭の私たちがどれだけ助けられたか……。そんなことも分からないお兄ちゃんなんて、最低だよ!」
Aは、優太の元へかけだした。
「酷い言われようやな。」
淳太は呟いた。
その瞬間、銃声が鳴り響いた。
「優太!」
「俺は大丈夫だから!お前は早く勝利のとこに行け!」
足元を打たれた優太は、身動きが取れなくなってしまった。
「でも!優太は!」
「早くしろ!じゃないと、俺が打たれた意味ねえじゃねえかよ!」
優太は力いっぱいAの背中を押した。
70人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:大仏さま | 作成日時:2017年7月10日 22時