11話 ページ12
「えっ……。」
顔をあげたのに、勝利の姿はなかった。
じゃああの声は?
「ごめんなぁ。A。不安やったやろ。」
そこに居たのは勝利ではなく、いつの日かの校門で会った男の人だった。
「え、どちら様ですか?」
「Aのお兄ちゃんやで。」
Aは戸惑った。だって……。
「私の兄は1人だけです。貴方とは会ったこともないです。」
そう言うと、淳太はAの肩を持った。
「……っ。何ですか!?」
「これからは俺が守ったる。お母さんも助けたるで。」
お母さんを助けたい。でも怖い……。
Aは頭の中で葛藤していた。
すると、
「A!」
勝利が走ってきた。
「勝利……。」
淳太はAの肩から手を離した。
「久しぶりやな、勝利。」
「兄貴……。」
勝利は会ったことがあるようだ。
「Aに何したの。」
「いや?何もしてへん。ただ、助けたいって言うただけや。」
「お願いだから、Aに変なことしないでね。」
「分かってる、分かってる。」
そう言うと、淳太は去っていった。
「A、行こ?」
Aはうなづいた。
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作者名:大仏さま | 作成日時:2017年7月10日 22時