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「春休みは優衣とかとよう遊んだな」
お風呂上がり髪を拭きながら手に取るプリクラを眺めながらも、
春とはいえヒンヤリする髪をドライヤーで乾かしていく。
「Aちゃんと乾かさんとあかんよ？」
後ろから優しく抱き締めてくれた望。
たまたま共働きで家を開けたうちの両親が
帰って来れなかった夜に、
望が泊まりに来てくれた事があった。
そん時にドライヤーを私から奪い乾かしてくれた望の優しさをふと思い出す。
「懐かしいわ…って…」
ふとしーんっとする部屋が妙に鼻にツンっとして
涙が溢れ出す。
辛い…
忘れろなんて出来ひん…
こんなに好きなんに…凄く好きなんに…
思い出が濃くて忘れられん。
酷過ぎる…神様…幸せ奪うなんて酷すぎる…
消せないメッセージ…
LI〇E。
「馬鹿みたいや…相手なんてもうとっくに楽しい春休み過ごしたんやろうな」
乾いた長い髪がベットの中で荒れるくらい布団に潜って
望の事を考えないように、
少しでも考えないように、
目を閉じて眠くなくても寝る事に集中するんや。
明日から高校生。
私は1からスタートするんや。
前向きに…。
ちゅんちゅん…スズメの鳴き声で目を覚ます朝はなんだかスッキリ。
ハンガーに掛けられた制服はピカピカで
私が行きたかった高校。
ブレザーで赤いリボンが目印だったりもする。
「お母さんおはよ。」
階段を降りれば朝食の準備をする母親に挨拶をし
お決まりのように朝食を済ませる。
「んー…いい朝！」
スクールバッグを持ち、望の事を心にしまい、
新しい春を…
新しいスタートが出来るように
高校の門を潜りクラス表を確認しに行くけど
「うわぁ…背が低くて見えへん。」
人が減るまで待つかと隅っこに行こうとした時、
「見たるから名前なんて言うん？」
突然の優しさに申し訳なさそうに見上げると
優しく微笑む男子は、
望のように背が高い人やった。
「えっと……あ、悪い…です」
「ええからええからはよ！」
「では、AAです。」
「Aちゃんな。………あったわ！1組俺と同じクラスや！仲良うしような？俺藤井流星って言うんや。流星って呼ばれとるから流星でええよ」
好印象の彼につい微笑むと「敬語なしやからな」と強く押され頷く私。
「中学から来る人居らんかったから不安やったけど安心したで。私はAでええから。よろしく。」
「参ったな〜かわええ」
そういう流星くんに嬉しい反面…
社交辞令やろうと切り替えた。
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作者名：maron | 作成日時：2018年12月18日 3時
