約束。【Yuri.C】 6

79 ページ5

知念side





わ、やば。




まだ８時半だ…

Aとの待ち合わせは９時なのに。






.







僕ばっかはりきっちゃって、






恥ずかしいなぁ…






.







ていうか、

なに言えばいいのかな？






人生で初めてのデートだからわかんないや。








.







.




…って。






……A、もういるじゃんか。







…なに、あれ。







.







…かわいい。






肩出すやつ、あれなんて言うんだっけ、

かわいい。






ふわってしてる珍しい素材のスカート、あれなんて言うんだっけ、

かわいい。





Aが首につけてるぴったりしたネックレス、あれなんて言うんだっけ、

かわいい。





Aの髪の毛、今日まっすぐだ。




春に比べて、髪伸びたなあ……




かわいい。






.






.





…どうしよう、声かけなきゃ、






知｢っA！｣







僕はAに走り寄った。






.






Aは僕を見るとぱっと顔をほころばせた。






…あ、A今日メイクもしてるんだ。







.







…どうしよう、なんか言うべき？






普段の制服のときのAも充分かわいいけど、





.





なんか今日はいつもと雰囲気が違って、



緊張してなにも話せない。







.







'僕のだよ'って見せつけるために、



ぎゅっと強くAの手を握る。








.







＿＿＿＿なにか言わなきゃなのはわかってるんだけど、








.







今はなんだか余裕ないし、あとから考えればいいよね…







Aのバッグからちらりと見えた黒のビキニ。








.







…Aに黒は、






まだ早いってば。







まだ早いけど、







…正直、



わくわく。

80→←78

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す