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月日は流れた。
Aちゃん27歳、俺25歳の夏の終わり。
2人の休みを合わせて、行った海。
俺は一世一代の言葉を口にすると決めていた。
夜、どこまでも続く星空と波の音の世界で
愛しい君の名前を呼んだ。
浮「Aちゃん」
「ん？」
隣に座る俺を見上げる、丸く輝く瞳。
そんなにキラキラした目で見られるとなんだか恥ずかしくなってくる。
風が吹いた。
浮「結婚、しよっか」
途端に丸い瞳がもっと丸くなる。
ポケットに入れていた指輪を出して、
Aちゃんの手を取って。
浮「浮所Aっていう名前、世界で一番可愛いと思うんだよね」
指輪をそっとはめた。
その指を夜空にかざすAちゃん。
綺麗、そう呟いて涙を流した。
その姿の方が何万倍も綺麗で。
しばらくの沈黙の後、Aちゃんは言葉を紡いだ。
「私、いなくなっちゃうんだよ」
Aちゃんの中にいる悪いものは
ちょっとずつ、確実に大きくなってきている。
若いのに進行が遅いのは珍しくて
いつ進行が速くなってもおかしくなくて
今だって、強い薬のクールになると入院しなくちゃいけないくらいの副作用が出る。
「飛貴のこと、ひとりにしちゃうかもしれない」
浮「ひとりになんてならない。
俺にはAちゃんがいる」
涙でぐしゃぐしゃのAちゃんをそっと腕に閉じ込める。
温かくて、愛おしくて、俺も涙が出そう。
浮「Aちゃんと俺は、ずっと一緒に生きるんだよ」
「ずっと…永遠に？」
浮「そう、永遠に」
「…実は私も、飛貴のお嫁さんになりたい」
浮「うん、そうだと思ってた」
抱き合ったまま、浜辺で寝転んだ。
目の前に広がる無数の星。
緩く吹く暖かい風。
俺らは永遠を信じて、長い長いキスをした。
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作者名：かおるん | 作成日時：2018年11月21日 1時
