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「飛貴、」
少し眠そうでいつもよりとろんとした声。
浮「ごめん、俺、何も知らなかった」
「…それ、読んだよね」
浮「ごめん、」
「謝ってばっか、飛貴は何も悪くないのに」
手に持ったままだったノートをサイドテーブルに置いた。
「私こそ、隠しててごめん、」
言わなくちゃ
大切なことは伝えなくちゃ伝わらない
浮「Aちゃん、俺、今までもこれからもAちゃんのこと好きだよ」
心の底から大好きなんだよ
浮「だから、俺と「ダメなの」
聞こえたのはとろんと蕩けた声じゃなくて。
「それはダメなの、飛貴」
起き上がったAちゃんの真剣な瞳。
ときどき出してくる歳上の雰囲気。
俺はこれにめっぽう弱い。
だけど、ここで負けるわけにはいかない。
浮「Aちゃん。
俺、Aちゃんが隣にいてくれたらそれだけで幸せ。
Aちゃんのこと、一人になんてさせない
ずっと俺が隣で守るって決めた」
今まで交わっていた視線が外れて
細い肩が小さく震え始めた。
ごめん、泣かせたいわけじゃないんだ
浮「だからAちゃん、俺に守らせて？」
そっと抱きしめると、背中に控えめに手が回された。
それが全部の答えだった。
こんなに細かったっけ、Aちゃんの腕。
こんなに柔らかかったっけ、Aちゃんの髪の毛。
ただ抱きしめることが、こんなに幸せなことだなんて知らなかった。
浮「もう絶対一人にしない。約束する」
うん、うんと頷く小さい頭
熱いもので濡れていく肩
二度と離さないから。
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作者名：かおるん | 作成日時：2018年11月21日 1時
