そこは、小瀧さんのお家でした。【桃】

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グイッ！



「へっ…？」




ギュッ









いきなり後ろから腕をひかれたかと思うと、
一気に息苦しくなった。



背中には、男の人の腕の感触。





私、神山君に…









抱きしめられてる？



神山君に前から抱きしめられているということに気づくのには、ずいぶん時間がかかった。

突然すぎて、頭が追い付かない。



「え…、神山、さん？」



神『俺、帰っていいなんて一言も言ってないねんけど』



「え…？」



神『勝手に泣いて、勝手に帰るとか、ホンマ勝手すぎるやろ』



「っ…！」



怒ってる…？

あんな優しい神山君が？


私、神山君に嫌われちゃったのかな、





神『可愛い女の子が泣いてんのに、そのまま返せるわけないやろ』



「っ…、泣いて、ないです」



神『泣いてたやろ、嘘つくな』



「っもう、泣き止みましたから、離してくださっ」



抱きしめられた体制が恥ずかしすぎて、神山さんの胸を押す。

でもやっぱり男の人の力って強くて、びくともしない。






神『いやや、まだ泣き止んでへんやろ。泣き止むまで離さん』



「っ、、、なんでそんなにかっこいいんですか、」




神『え？』




「こんなことされたら、好きになっちゃうじゃないですか、」




神『笑そりゃうれしいことやわ』





「、、、ずるい」




神『ずるいってなんやねん笑』

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