そこは、小瀧さんのお家でした。【桃】

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Aちゃんは、手慣れた手つきで食器や鍋を洗っていく。

俺は、台所のパーテーションにもたれかかってそれを眺める。

「Aちゃん、家でよくお手伝いするん？」

『あー、まあ、そんなとこですかね』

「へー、えらいなあ。お母さんと仲いいんや」

『仲は、よかったです』

「…なんで過去形？喧嘩してるん？」

もしかして、昨日コンビニに行ったって言うんも家出やったりして。









『いえ、母は、もういないので。』

少し間を開けて、Aちゃんはそう答えた。

…やば、俺Aちゃんにすごい失礼なこと聞いてしまった

「あ、じゃあお父さんと？」

父子家庭なんかな、

『父も、いません。』

「…え、」

どういうこと？

『去年、2人とも交通事故で。』





…嘘やろ？

そんなん辛すぎるやん。だってまだ17歳やろ？

「…ごめん、辛いこと聞いて」

『いえ、全然大丈夫です。もう慣れたので、』

慣れた？

親が2人とも死ぬなんて、俺やったら耐えられない。

なのに、なんでAちゃんはそんな笑ってられるの？

そんなちっこい体で、辛いこといっぱい背負ってるんや。









この子を守りたい。

俺の中で、そんな気持ちがよぎった。

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