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ぼんやり目が覚めた。
何時だろうとスマホを手繰り寄せて、そして。
昨日の状況をやっと思い出したのだ。
｢ぎゃああっ｣
勢いよく飛び起きると、目の前には昨日干した洗濯物を畳んでいるしげちゃんの姿。
｢あ、起きた｣
｢…何してんの｣
｢えー？こう見えて俺、洗濯物畳むんめっちゃ得意やねん｣
ほら！と見せられた洗濯物はたしかに綺麗なのかもしれないけど、そこじゃない。間違いなくそこじゃない。
｢じゃなくて、｣
｢小バエは今日わいてへんで、昨日駆逐したったからな！｣
｢そこでもないでしょうよ…｣
考えるのを一旦やめてしまおうか。
ぱふっと倒れ込んだ布団からは間違いなくしげちゃんの匂いするけど、いいかあ、もう。
この布団も密封して、視聴者1名様にプレゼントします。
30分以内ならバスタオルもお付けします。
｢ねむ、｣
｢よう寝とったもんな｣
｢そうかなあ？｣
｢やってもう昼近いで？｣
｢それは確かに…でも休みだからいいや｣
一昨日は友人の部屋に避難したから、ついつい寝るのが遅くなってしまったせいもある。
彼には頃合いを見て、適当に帰ってもらおう。
｢帰るとき起こして…｣
｢はあ？！｣
ばふっ！て布団が剥ぎ取られた。
昨日は散々かけてきたのにね！
何ならかけるどころか、そんな押さえ付けていらないくらい押さえ付けてきたのにね！
｢なに！｣
｢寝んなあほ！｣
｢寝かせろぼけ！｣
帰ってー、頼むから帰ってー。
小バエ退治できたんだから、一緒にこの恋心も退治させて。
｢帰れよ、もう〜｣
｢なんやお前！俺は用無しか！便利屋ちゃうねんぞ！｣
｢お風呂も後泊もする便利屋なんていたらビックリ｣
｢作業代金やろ、これでチャラや｣
へっ！と笑った彼は、当分帰る予定はないらしい。
何でかなあ、洗濯物乾いてるしさっき綺麗に畳んでたのになあ。
｢Aが寝るんやったら、俺も寝よかな｣
｢えー？ほら、どーぞ｣
どうせ、昨日の記憶なんて彼にはない。
私だけドギマギさせられたに違いない、あんなに酔っていたくせに二日酔いにもならず元気なもんだ。
ふざけて捲った布団に、どうせ入ってこれやしないんですよシラフなこいつはね。
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作者名：茉莉花
| 作成日時：2022年8月20日 23時
