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「…あの、ね。その、」
Aが、躊躇いがちに口を開く。
ん?て聞く俺の肩に手を置いて、背伸び。
震えながら、Aが顔を傾けた。
前の、ふわっと優しくぶつかるだけちゃう。
「…だいきが、好き。愛してる、」
は。
わ、どうしよ。
ほんまに。
ぽかん、と口が空いた。
「…口下手だから、その、上手く言えないけど、言いたいことがあるの」
耳まで真っ赤な顔で、まっすぐ俺を見る。
ぽろっ、と一粒なみだ。
掬おうと伸ばした俺の手をとって。
Aが、恋人繋ぎした。
握った手を、ぎゅってしてる。
「いつも、ありがとう。心から、感謝してるの。あの、普段は、思ってることを正直に言えなくて…その、冷たい態度で、ごめん」
時々、声を詰まらせながら、一生懸命伝えようとしてくれてる。
言葉挟みたくないな。
代わりにぎゅっと手を握り返す。
「…だいきは、私に寄り添ってくれて、一人ぼっちにしないでくれて、孤独から救ってくれて、」
言葉も、涙も。
想いを吐き出すのが苦手な彼女やから。
言えへんところと、言わへんところと。
それを、彼女なりに変えるために。
その為の武装やったんかな、なんて。
「暗くて淋しいところで、動けなくなってた私の、光になってくれた人なの」
眩しくて、温かくて、幸せで、くすぐったくて、だいきが、そのくらい私に愛を教えてくれたから、
私が、だいきに愛を注いで、育てなきゃいけなかったのに、だいきの方が私にいっぱい愛をくれて、
私には勿体ないくらいで、でも、ずっと一緒にいたいし、隣で笑っててほしいって思ってて、
だから、だから、
Aが、目を閉じる。
決意するみたいに、ぎゅーって。
それから、目を開けて、俺の両手を握った。
「だいきにも、そう思ってもらえるくらい、いっぱいいっぱい大好きだよ、ありがとう、愛してるんだよって伝えたい」
前髪が長くても短くても、察してよ、じゃなくて、ちゃんと思ってること伝えて、だいきが思ってることも聞いて、
他愛もないやりとりもいっぱいして、それを笑い合えるような関係になって、
だいきにとって、優しくて、可愛くて、愛をくれる、素敵な、恋人になりたい
Aが溢れる涙のまま、ぎゅうぎゅう手を握る。
多分、俺も。同じことになってる。
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こか - ドールの読みました!いつかいつかとしげちゃんの更新まってます。 (2019年7月10日 1時) (レス) id: be3c0702e8 (このIDを非表示/違反報告)
春果 - しげちゃんかわいいですね〜!また、楽しみにしてます★ (2017年7月18日 20時) (レス) id: 997f1647f4 (このIDを非表示/違反報告)
青衣(プロフ) - 更新うれしいです、ゆっくりでいいのでりゅうせい編も楽しみに待ってます、素敵な作品と出会えて嬉しいです。 (2017年7月14日 23時) (レス) id: 7b82a2e89b (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - このシリーズ大好きです。更新楽しみにしてます。 (2017年7月9日 0時) (レス) id: cf7f28aebe (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - プランツドールシリーズ、今までに読んだ作品の中で一番好きです。どのドールのお話も大好きで、思わず感情移入して読んでて切なくなったり嬉しくなったりしてます。更新楽しみにしてます (2016年9月13日 2時) (レス) id: c25a20d502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉莉花 | 作成日時:2016年4月23日 11時