「おやすみ」 ページ8
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のぞむを抱っこして、お風呂を出る。
バスタオルを渡したら、ちっちゃいてで器用に髪の毛わしゃわしゃ乾かすの。
いつも感心しちゃう。
「偉いねー、のぞむは自分で出来るんだもんね」
褒めたらにこにこ。
少しだけドヤ顔まじりで可愛い。
パジャマは、近所のリサイクルショップで買った安物。
本当は新品を着させてあげたい。
でも、その余裕が無い。
「髪の毛乾かしまーす」
ドライヤーを持ったら、少し緊張した顔。
のぞむはドライヤーがどうも苦手で。
「…スイッチ入れるよ?準備して?」
って言ったら、ぎゅっと目を瞑る。
いつもの光景だ。
ぶおおおって唸り声をあげるドライヤーに、ぴっ、てのぞむが姿勢を正す。
私の膝の上、ものすごく姿勢よくドライヤーが終わるのを待っている。
「はい、おしまい。今日もちゃんと我慢できたね、偉い偉い」
乾いたサラサラの髪を手で梳く。
のぞむがほわほわ、気持ち良さそうな顔。
「じゃ、ご飯食べよ」
こくん、て頷いて。
それから両手を伸ばす。
私が家にいる時間が少ないせいか、のぞむはほぼ常にべったり状態で。
移動なんか私が抱っこしてするのが大半。
「のぞむ、もう少し大きくなったら、もう抱っこしないからね?」
そう言えば、私の首にぎゅって抱き着いて、いやいやと首を振る。
「うん、分かるよ。私があまり家にいないせいで、寂しい思いばかりさせちゃってるもんね。でもね、いつまでもくっついてばっかりいられないんだよ?」
そっとのぞむの顔を覗き込む。
そしたら、真ん丸な目がうるうる、私を見てた。
可愛い。甘やかしたい。
でもダメダメ、ちゃんと育てなくちゃ。
ちゃんと、ちゃんと。
その事ばかり考えて、だからこそ私がしっかりしなきゃ、ってそればかりで。
スプーン1杯、きっちり計ったミルクをのぞむにあげる。
ほわあって笑うのぞむの頭撫でて。
それから、明日の朝の分と、昼の分も計る。
「こっちが朝、こっちが昼だからね。いつも通り、冷蔵庫に入れておくね」
こくん、てのぞむが頷く。
食事が終われば、歯を磨いて。
のぞむを抱っこしたまま、ベッドに入る。
「おやすみ」
のぞむが目を覚ます前に、私はバイトに行く。
寂しいけど、これが私たちのため。
のぞむのため。
それだけしか、考えてなかった。
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藤崎リコナ - このシリーズのお話大好きで、何回も読ませていただいてます!何回見ても泣いちゃいます (2016年10月18日 1時) (レス) id: ee5122baa7 (このIDを非表示/違反報告)
きょうこ(プロフ) - 読ませていただきました!後半から涙が止まらなくて、今顔ぐちゃぐちゃですか 。感動しました。ほかのシリーズも楽しみに読まさせていただきます! (2016年9月22日 17時) (レス) id: 514c52e757 (このIDを非表示/違反報告)
あんぬ - 感動しました!短編での小瀧も楽しみにしています!! (2016年6月20日 12時) (レス) id: 865d5d2189 (このIDを非表示/違反報告)
ちびとら(プロフ) - 途中からどんどん切なくなってきて……もう涙が止まらないです(;_;)でもこのお話大好きです! (2016年2月25日 1時) (レス) id: 97b52757b6 (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ - 泣きました!もう、そりゃ、すごい量でした・・・。でも、すごくおもしろかったです!望くんの短編もっと読みたいです! (2016年2月21日 18時) (レス) id: 997f1647f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉莉花 | 作成日時:2015年12月9日 2時