プランツ・ドール Nozomu. K

「…関係ないですから」 ページ5

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「行かんで、てのぞむが言うてますよ」



「…関係ないですから」



足を進めようとするのに、この人形、すごく力が強いの。

お店を出られない。

足を引き摺るように出口に向かう。

のぞむくんの力もますます強くなる。

そんな攻防を繰り返していると、桐山さんが笑った。



「その子、力は強いんやけど、めっちゃ軽いんですよ」

女の人が一人で運べるくらい



何が言いたいのか、一瞬分からなかった。

それから、意味が分かってしまった。

本当は、分かりたくなかったのだけど。



「コンペイトウとミルク、在庫の数確認せえへんのです。せやから、いくつか減っても分からへんわ」



「そこにあるキャリーバッグ、お客さんの忘れもんみたいで。俺はいらんし、困ってもうてるんですよ」



「じゃあ、さすがにあかんから、俺は在庫整理してきますわ」

…くれぐれも、人形は落とさへんように



桐山さんが眩しいくらいの笑顔を残して、店の裏へと入っていく。

分かりたくなかった。

分かりたくなかったのに。



「おいで」



気が付けば、エサをたくさん詰めたキャリーバッグを片手に、彼を盗んでいた。






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