プランツ・ドール Nozomu. K

「遅刻すんで」 ページ28

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｢A、起きてっ！おはよー！｣



｢…ん、おはよ、｣



就職して、朝は今までより余裕ができた。

部屋を出る時間が、今までより１時間くらい遅い。

そのおかげで、すっかり気が緩んじゃったみたいだ。

最近、どうも前みたいに朝起きれない。



｢遅刻すんで。ほら、｣



のぞむに急かされるように、ベッドから起きて。

あ、昨日お風呂入ってなかった。

着替え持って、シャワーを浴びに浴室へ。



｢…のぞむ、なにしてんの｣



｢ちぇ、ばれたー｣



何故かのぞむまで服脱ごうとしてる。

もう、ばかだ。



｢入ってこないでよね、えっち。服脱げないんだけど｣



｢はあーい｣



のぞむを追い出して、服を脱いで。

ザーッと頭からシャワーを浴びれば、少しだけしゃきっとした気がする。

それから、髪乾かして、着替えて。

ご飯食べて、食べさせて、準備して、部屋を出る。



｢いってらっしゃい｣



｢いってきます。今日もお店行くなら、鍵忘れないでね｣



｢おん、もちろん｣



買い主さんと仲直りしてから、ともくんはお店に来なくなったらしい。

今まで週５で会ってたから寂しい、ってのぞむは言ってた。

でも、その後も、足しげく通っている。

なんでも、桐山さんと特訓してることがあるみたい。

アパートを出て、最寄りの駅へ急ぐ。

この時間は、車も、電車も、バスも、学校や仕事に向かう人たちで溢れかえってる。

私も、その中の一人だ。

電車に乗り込んで、つり革に掴まって。

電車が走り出した途端、お腹がキリキリ痛み出す。

いつものことだ。

バッグから薬と水を出して、流し込む。

それで少しは楽になったような気がする。

でも、電車が会社に近づけば近づくほど、腹痛は悪化していくんだ。

仕事が、辛い。

そんなこと、のぞむには絶対に言えない。






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