検索窓
今日:38 hit、昨日:10 hit、合計:422,327 hit

「ご褒美、ちょーだい?」 ページ26

.







「ただいまー!」



晩御飯の準備してたら、玄関から大声。

私が先に帰ってるなんて初めてだからお出迎えしてあげようかな。

そう思っていたら、どたばた足音がして。



「わっ、」



のぞむが上着も脱がず抱き着いてきた。



「なになに、どしたの」



「Aに会えへんくて、寂しかった」



耳元で声がして、今夜はいつもより甘えたいみたい。



「拗ねて冷たかったの誰?」



「あれはAが悪い、」



俺の方がええよね?ね?って、そんな愚問。



「あんなちっちゃい子に嫉妬してどうするの?」



「そうやけど、」



ぎゅーっと腕の力が強くなって。



「俺がちっこい時のこと、思い出してん」



弱々しい声でのぞむが言った。

私も考えてた。

ひとりで留守番してる間、のぞむもこうやって泣いてたのかなあって。

毎日、この部屋に一人で何してたのかも全然知らないし。

早起きさせちゃってたから、二度寝はしてたと思うんだけど。



「ね、のぞむはちっちゃい時、いつも何して私の帰り待ってたの?」



「んー、何してたんやったかなあ。…あ、寝てた」



と、予想通りな反応。



「やっぱり」



「やって、寝とくんが一番時間がはよ経つから」

けど、寝ても全然時計の針進まんくて、Aまだかなあ、てめっちゃ思うてたなあ



のぞむが、ま、今もやけどね、って微笑む。

寂しい思いさせてたことを痛感した。

そっか、そうだよね。

きっとのぞむが一人で過ごす日中は、私が想像するよりずっと長かったはず。



「ごめんね」



ぎゅっと抱き締めて、少し明るくなった髪をくしゃくしゃ撫でる。



「いやー俺ええ子やったなあ。な、そう思うやろ?」



のぞむが、にーって笑ってる。



「…自分で言ってるし。そう思うけど、何、」



何やら嫌な予感。



「やから、ご褒美、ちょーだい?」



小首を傾げるあざとさとか。

何だかんだ、絶対に、可愛いって自覚してるところとか。

私がその仕草に弱いの知ってることとか。



「ちっちゃい時の方が可愛かったのにね…」



「イケメンなり過ぎてもうたなー!」



得意げに笑うその顔も、その減らず口も。

大好きだから本当に腹が立つよ、なんて。



「ちょっ、なにすんねんっ」



言わない代わりに、胸ぐら掴んで、天狗になってる鼻に噛み付いてやった。







.

「…めずらし」→←「俺やって可愛かった!」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (695 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1474人がお気に入り
設定タグ:ジャニーズwest , 小瀧望
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

藤崎リコナ - このシリーズのお話大好きで、何回も読ませていただいてます!何回見ても泣いちゃいます (2016年10月18日 1時) (レス) id: ee5122baa7 (このIDを非表示/違反報告)
きょうこ(プロフ) - 読ませていただきました!後半から涙が止まらなくて、今顔ぐちゃぐちゃですか 。感動しました。ほかのシリーズも楽しみに読まさせていただきます! (2016年9月22日 17時) (レス) id: 514c52e757 (このIDを非表示/違反報告)
あんぬ - 感動しました!短編での小瀧も楽しみにしています!! (2016年6月20日 12時) (レス) id: 865d5d2189 (このIDを非表示/違反報告)
ちびとら(プロフ) - 途中からどんどん切なくなってきて……もう涙が止まらないです(;_;)でもこのお話大好きです! (2016年2月25日 1時) (レス) id: 97b52757b6 (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ - 泣きました!もう、そりゃ、すごい量でした・・・。でも、すごくおもしろかったです!望くんの短編もっと読みたいです! (2016年2月21日 18時) (レス) id: 997f1647f4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:茉莉花 | 作成日時:2015年12月9日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。