「俺やって可愛かった！」 ページ25
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｢必ず、お金はお支払いします。ですから、これからものぞむと暮らさせてください｣
深く頭を下げると、
｢こちらこそ、のぞむをよろしくお願いします｣
って、優しい声が上から聞こえた。
｢じゅんたくん、エサ持ってきたってー｣
桐山さんが奥に向かって呼び掛ける。
そしたら、桐山さんとは真逆にも思える雰囲気の店員さんがコンペイトウとミルク両手に出てきた。
｢はじめまして｣
挨拶すると、じゅんたさんが無言でお辞儀してくれた。
不思議に思って桐山さんを見る。
｢ああ、じゅんたくんも人形なんですわ｣
｢そうなんですか｣
って返したけど、ん…？
｢あの、話せないんですか？｣
思わず聞いたら、桐山さんの顔がどんどん厳しくなる。
うわ、またやっちゃったみたい。
｢あ、いや、すみません。えーっと…｣
｢ただいまー！｣
言葉を濁していたら、のぞむとともくんが戻ってきた。
｢のんちゃんと、おさんぽしてきたっ！｣
さっきまでの泣き顔はどこへやら。
ともくん、にっこにこしてる。
…可愛い。
｢おお、おかえり。ともひろ良かったなあ｣
桐山さんはもう笑顔に戻ってて。
何だったんだろ、さっきの。
｢あのねっ、おままごとあるの！のんちゃん、やろ？｣
ともくんがのぞむの手を引く。
のぞむも私の手をよく引っ張ってたなあ。
ふふ、って笑ったら、のぞむがむすっとしてる。
｢…ん？｣
｢ともひろのこと、可愛ええ思うたやろ。俺やって可愛かった！｣
嫉妬してたんだ、可愛い。
｢うん、可愛かったね。それに比べて…｣
つい悪戯心で、足先から頭までわざとらしく見てみる。
そしたら、ますます不機嫌になっちゃって。
｢…もーええし！ともひろ、遊ぼ｣
二人でおままごとセット広げて、きゃっきゃと遊び始めた。
今でも可愛いと思ってるよ、なんて言わないけど。
時計を見ると、もう時間。
今日はこれから研修会がある。
じゅんたさんからエサ受け取って、のぞむに声を掛けた。
｢俺、ともひろと遊んどるから。時間なったら帰る｣
って私のこと見ないで答えた。
まだ拗ねてるみたい。
｢じゃあ、よろしくお願いします。今日は失礼します｣
そう言えば、ともくんが、ばいばーい！って手を振ってくれた。
うん、やっぱり可愛いかも。
きっと大切に育てられてるんだろうな。
皆さんにお辞儀して、お店を後にした。
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藤崎リコナ - このシリーズのお話大好きで、何回も読ませていただいてます！何回見ても泣いちゃいます (2016年10月18日 1時) (
レス) id: ee5122baa7 (このIDを非表示/違反報告)
きょうこ(プロフ) - 読ませていただきました！後半から涙が止まらなくて、今顔ぐちゃぐちゃですか 。感動しました。ほかのシリーズも楽しみに読まさせていただきます！ (2016年9月22日 17時) (レス) id: 514c52e757 (このIDを非表示/違反報告)
あんぬ - 感動しました！短編での小瀧も楽しみにしています！！ (2016年6月20日 12時) (レス) id: 865d5d2189 (このIDを非表示/違反報告)
ちびとら(プロフ) - 途中からどんどん切なくなってきて……もう涙が止まらないです(;_;)でもこのお話大好きです！ (2016年2月25日 1時) (レス) id: 97b52757b6 (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ - 泣きました!もう、そりゃ、すごい量でした・・・。でも、すごくおもしろかったです！望くんの短編もっと読みたいです！ (2016年2月21日 18時) (レス) id: 997f1647f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉莉花
| 作成日時：2015年12月9日 2時
