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「一緒に入ろ?」 ページ20

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「あめあめふれふれ、かあさんがー」



雨空の下、のぞむが歌を口ずさむ。

教育テレビでたまたま聞いて、気に入ったみたい。



「じゃのめで、おむかいうれしいなー」



私も合わせて歌えば、ふふ、と微笑んだ。



「ね、じゃのめ、て何?」



「じゃのめっていうのはね、和傘の種類で…」



そんな話をしながら、手を繋いで。

カッパはすっかり小さくて、着れなくなった。

だから、紺色の新しい傘。

のぞむが持って、相合傘してる。

この傘、のぞむ用にって買おうとしたら、



『もっと大きいの!!』



って、何回もしつこくて。



『まだのぞむがそこまで大きくないでしょ?大きいと周りが見えないから危ないんだよ?』



『ええの!ちっさいのはあかんの!』



私が説得しようとしても、全然だめ。

なんでだろって思いながら仕方なく買ったら、理由はその帰りにすぐ分かった。



『な、一緒に入ろ?』



紺色の傘を持ったのぞむが微笑む。

ああ、そういうことかって思わず笑ったら、なんやねん、って拗ねちゃって。

今思い出しても可愛くて笑っちゃう。



「A?どないした?」



思い出し笑いしてたら、のぞむが不思議そうに首をかしげる。



「ううん、やっぱり大きい傘にして良かったね」



「やろ?ちょうどええやん」



のぞむがドヤ顔まじりに笑って。

背はどんどん伸びるのに、そういうところ変わらないね。



「もう少し散歩しよ。な?」



そう笑うのぞむは、すっかり雨の日が好きになったみたい。



「いいよ。水溜りは入っちゃダメね笑」



「分かっとるよ。長靴ちゃうもん」



ちっちゃくて、水溜り目掛けて走り回っていたはずなのに。

落ち着いて、もうすっかり大きくなった。

これは本当に、のぞむが宣言してたみたいにすごく大きくなりそうな予感。



「大きくなっても、こうやって一緒にいようね」



無意識に、そんな言葉が出た。



「当然やろ。Aが嫌やて言うても、離れてあげへんし」



前より大人びた顔で、前と変わらない笑顔をして。

のぞむが傘に隠れるように、私の頬にキスをした。







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「…旨い?」→←「いーっぱいだっこする!」



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藤崎リコナ - このシリーズのお話大好きで、何回も読ませていただいてます!何回見ても泣いちゃいます (2016年10月18日 1時) (レス) id: ee5122baa7 (このIDを非表示/違反報告)
きょうこ(プロフ) - 読ませていただきました!後半から涙が止まらなくて、今顔ぐちゃぐちゃですか 。感動しました。ほかのシリーズも楽しみに読まさせていただきます! (2016年9月22日 17時) (レス) id: 514c52e757 (このIDを非表示/違反報告)
あんぬ - 感動しました!短編での小瀧も楽しみにしています!! (2016年6月20日 12時) (レス) id: 865d5d2189 (このIDを非表示/違反報告)
ちびとら(プロフ) - 途中からどんどん切なくなってきて……もう涙が止まらないです(;_;)でもこのお話大好きです! (2016年2月25日 1時) (レス) id: 97b52757b6 (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ - 泣きました!もう、そりゃ、すごい量でした・・・。でも、すごくおもしろかったです!望くんの短編もっと読みたいです! (2016年2月21日 18時) (レス) id: 997f1647f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茉莉花 | 作成日時:2015年12月9日 2時

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