プランツ・ドール Nozomu. K

「いーっぱいだっこする！」 ページ19

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｢…あのね、｣



のぞむがぽつりと呟く。



｢ん？｣



｢のんが大きなったら、Aのことだっこする｣



ぐっと胸張って。

さっきまで泣きそうだったのが嘘みたいに、頼もしい顔してる。

今までなら泣いたり、私に抱きついてきたりしてたのにって、嬉しくて、寂しい。

そうやって、少しずつ少しずつ。

身体も心も大人になっていくんだね。



｢のぞむが抱っこしてくれるの？嬉しいな！楽しみにしてるね？｣



そう言ったら、にこにこと微笑んだ。



｢おん！のん、めっちゃ大きなるから！Aのこと、いーっぱいだっこする！｣



｢うん、約束ね｣



二人で微笑みあって。

指切りをして。

きっとあっという間に来るその日が楽しみ。

でも、ほんのちょっとだけ、大きくなってほしくない気もするよ。

翌日、大事をとってバイトは休みをもらった。

ベッドの上で動けない私に、のぞむは



｢かんびょーする！｣



と嬉しそうで。

添い寝したり、苦戦しながら湿布を貼ってくれたり、変顔して笑わせてくれたり。

本当に優しくて、愛おしい。

たまにはこんな日もいいかも、って痛めた腰にも感謝した。






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