プランツ・ドール Tomohiro. K

「遠い親戚の子です」 ページ10

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「Aちゃん、隠し子でもいたの？」



「違います。遠い親戚の子です」

それはそうとお菓子、あげないでくださいね



家に一人でおいておくわけにもいかず、職場にともひろを連れてきた。

さすがに派手派手な服じゃ目立ちすぎるから、近くの服屋で子どもらしい服も見繕ってきて。



「え〜、静かに待ってて偉いからさ。ご褒美にでも」



「ダメです。その子のお母さんに厳しく言われてますから」



それは嘘だけど。

ミルクとコンペイトウ以外あげんでください、って桐山さんの言葉。



「ありゃりゃ、厳しいお母さんだ」



編集長が、ぽんぽんって頭撫でたら、ともひろの顔がどんどん歪んできて。



「…まずい、」



慌てて駆け寄った。



「よーしよし、ごめんねえ。汚いおじちゃんに触られて、嫌だったねえ」



「Aちゃん、仮にも上司になんて言い様だい」



「私にとっちゃ上司でも、子どもにとっちゃ汚いおじちゃんですから」

よしよし、大丈夫。大丈夫



なだめていたら、こてん、と寝てしまったようで。



「すみません、もう仕事できないんで帰っていいですか」



「君のそのやる気のなさは何とかならないもんかね」



「じゃあ、取材してきまーす」



「はいはい、早退ね」



タウン誌なんて、大抵、暇なのだ。

人が少ない分、兼任していることが多くて、役割分担が明確じゃない。

仕事があるときに一人抜けられるとキツいけど、暇なときは、一人分の穴くらい簡単に埋められる。



「…よし、」



ふかふかの布団にともひろを寝かせて。

私もなんだか眠たくなってきた。

おやすみ。

あのお店の記事、どうしよ。







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