プランツ・ドール Tomohiro. K

「おやすみ」 ページ9

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ともひろは特に私に助けを求めることなく、お風呂を終えた。

そしてバスタオル巻いたまま、ちょこんと私の膝の上に座ってる。



「お風呂気持ちよかった？」



Yes。



「身体はちゃんと拭いてきた？」



Yes。



「じゃあ、用意してあげた服、気に入らなかった？」



No。



「ああ、そっか。これじゃなきゃダメだったんだっけ」



桐山さんから渡された荷物の中に、寝巻と普段着、一着ずつだけ入ってるって言ってたっけ。



「ほら、どーぞ」



渡してあげたら、それを小っちゃい手で受け取って、洗面所へ。

少しして、ふわっふわ真っ白の寝巻着て戻ってきた。



「…おおっ、似合ってるね。可愛い」



にこにこ、笑顔になって。それからまた、私の膝の上。



「どうしたの？」



って聞いてから、ああ、この質問はダメだって気が付いた。



「あ、髪の毛乾かしてほしいんでしょ」



Yes。



「ドライヤーもっといで」



Yes。

コミュニケーションは配慮さえすれば順調。

頷くか、首振るか、それだけ見ればいい。

もちろん、少ない表情の変化はなるべく見逃さないように気を付けながら。



「ん、じゃあ、乾かしてあげる」



ぶおお、ってドライヤーの温風にさらさら髪がなびく。



「熱くない？大丈夫？」



Yes。



「そかそか。良かった」



細くて繊細な髪の毛をゆっくり乾かして。

虫歯にならないよう歯磨きして。

これまた桐山さんからもらった、ふかふか真っ白な布団を敷いた。



「おやすみ」



布団の中で丸まって、すぐにすうすう寝息が聞こえてきた。

おやすみ、ともひろ。

よくわかんないけど、これからよろしく。







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