「普通に届くんだね…」 ページ37
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本編に戻ります。
「できた!」
ともひろが、ツリーのてっぺんに星を挿して笑顔。
色とりどりの飾りをつけて、随分、煌びやかになった。
喜んでくれて良かった。
何より、無事一緒にクリスマスを迎えられそうで良かった。
けど、少しだけ悲しいお知らせが一つ。
「クリスマスツリー、普通にてっぺんに手が届くんだね…」
私くらい背丈のあるやつ買ったのに。
小っちゃいともひろがさ、
『わあ〜!おっきい!!』
って、はしゃいでくれたり、
『とどかへん!だっこ!』
とか言ってくれたりするの、想像していたのに。
「大きくなるの早すぎ、」
思わず呟くと、ともひろがそっぽ向いちゃった。
それから、ちらっと私見て、分かりやすく頬膨らませて。
「めっちゃ楽しみやったのに、」
聞こえるか聞こえないかくらいの声で言う。
「ごめんごめん。今のともひろも好きだから、ね?」
「ええもん、こんこんと仲ようするから」
すっかりいじけちゃってる。
私に見えるようにキツネを抱きしめてるし。
大きくなるにつれ、手放してくれるだろうと思っていた憎いソイツ。
けど、ともひろが完全に枯れずに済んだのはソイツのおかげだったようで。
あの時、お店にあって、私の愛情を感じられる数少ないもののだったから。
そのおかげか、全然手放してくれなくなった。
私が買ってあげたものだからってことらしいから嬉しい。
それに、ともひろを守ってくれて感謝したいところではある。
でも、ライバルであることに変わりない。
「こんこん捨ててやろうか」
「めっ!…っ、」
自分で小さい時の口調を再現して、一人で照れてる。
キツネで顔隠す癖、変わらないね。
「こんこん邪魔ー」
えいっ、てキツネ避けて。
真っ赤なともひろの顔が見えて。
「相変わらず、可愛い」
抱き締めようとしたら、ともひろの方が私より身長が高い。
いや、気付いてはいたことだけど。
抱き付いた感じになってる。
「Aの方がやね」
頭ぽんぽんされた。
「私のほうがまだ年上だから」
「クリスマスまでに、追いつくな?」
見上げたら、上目遣い新鮮やね、って微笑んでる。
身長も関係も、あっという間に移り変わって。
私があの日言った「好き」を、どう受け取ったのか。
所謂likeなのかloveなのかも聞けないまま。
キスした私だけ、何だか複雑な気持ちで。
クリスマスは、もうすぐそこに迫っていた。
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凜望 - 最高です!神ちゃんのこともっと好きになりました! (2016年2月26日 0時) (レス) id: f55ca5bc68 (このIDを非表示/違反報告)
ちびとら(プロフ) - ほっこりしました(´∇`)このお話読むとほっとするんで何回も読み返したくなっちゃいます!! (2016年2月25日 2時) (レス) id: 97b52757b6 (このIDを非表示/違反報告)
山田淳 - もう、神ちゃん天使でした!!ずっとキュンキュンしてました♪のんちゃんのやつも絶対読みます。これからも頑張ってください!! (2016年2月7日 22時) (レス) id: 4ab1e02086 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ@薮 光∞慧(プロフ) - すっごく面白かったです!可愛い神ちゃんを想像しながら読んでました。こんな人形実際にあったらいいなぁ、笑 更新お疲れ様でした。望の方も読ませていただきますねッ (2016年1月31日 15時) (携帯から) (レス) id: 405256a79f (このIDを非表示/違反報告)
りんりん - 完結おめでとうございます!すごく神ちゃんかわいかったです^ ^神ちゃん担なのですごく嬉しかったです!のんちの方も楽しみにしてます! (2016年1月16日 20時) (レス) id: 5b58b1eaf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉莉花 | 作成日時:2015年11月26日 23時