プランツ・ドール Tomohiro. K

『機能停止致しましたことをお知らせいたします』 ページ28

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次の日も、その次の日も、ともひろは帰ってこなかった。

私が言い過ぎた部分もあった。

でも、そもそも悪いのはともひろだからって意地を張って。

迎えになんて、行ってやるもんかと思った。

そしたら、仕事帰り、じゅんたさんが部屋の前に立ってた。



『ご購入いただきましたプランツ・ドール“ともひろ”につきまして』



とりあえず上がってもらうと、じゅんたさんはすぐに一枚の書類を取り出した。



『破棄なさらないようご契約いただきましたが、このような結果になり、非常に残念です。なお、“ともひろ”につきましては、本日の早朝、機能停止致しましたことをお知らせいたします。』



「…え？」

嘘、ですよね？



私がそう尋ねると、じゅんたさんは静かに首を振った。

それから、カバンから何やら料理雑誌を数冊取り出してきて。

私に見るように促した。

いくつかのメニューに丸が付いてたり、メモがしてあったり。



「…なんですか、これ」



私の好きなメニューではあるけど。

だからなに？

そしたら、スマホ取り出して、何なのもう。

動画を再生し始めた。



『はい、こちらのんすけが撮影しまーす。えーっと、じゃん！ともひろ、勉強中です！』



『のんちゃん、撮らんでええって笑 なにしてん、それ』



『ともひろこそ、今、何してるんですかー？』



インタビュアーを意識してるのか、のんちゃんが手をマイクみたいにともひろに向ける。

ともひろの手元にはペンと、さっき私が見た料理雑誌。



『…料理の、勉強してます。A、誕生日近いんやって』



『そうなんですか？なぜ、お料理の勉強を？』



『A、俺の前でご飯食べへんから、です。きっと、俺に悪い思うてるんやろうけど。せやから、俺が料理作って、俺の前でも食べてええからって言いたいねん、』



『そのためにお勉強してるんですね！実際に練習もされているんでしたっけ？』



『してます。けど、味見できひんから、よう分からへん。あっくんに味見してもろてるけど、いっつもしてもらうわけいかへんし』



やっぱり人になりたい、ってともひろが言って、それめっちゃ分かる！ってのんちゃん。



『こら、勝手に俺のスマホで撮ってへんで練習すんで。望もやったらええやん、喜んでくれるて』



そこで、映像は終わった。







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