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「おかえり、神山」
「えっ、なに?」
鍵穴がたてた音を感じとり、ドアの前で神山を待ち構える。ドアを開けてこちらを見た神山の顔が一瞬で強ばる。なにしてんねん、コイツ、言わなくてもそんな声が聞こえた。
「そんな不審者見るみたいにすんなや」
「いや、普通にドン引きやん」
怪訝な表情のままの神山の手を取り、ソファに座らせる。え?なに?と未だ状況を理解出来ていない神山。ちょっと待っててな、そう言って急いで準備にとりかかる。
テーブルに、白米、肉じゃが、味噌汁が並び、立派な夜ご飯が揃った。今日は俺が、いつも神山が座る座布団クッションに座った。
「どう?すごない?」
「…っえ、どうしたん?」
「いや、特に意味は無いねんけど、暇やったし、いつものお返しみたいな」
そう言えば、目を丸くして何かを言おうとした、けれどそれを呑み込んでしまった。目をパチリパチリと瞬きさせ、何かを言おうとしているのが分かる。
「…どう?一応味見はしてんけど」
あまりにも何も言わないから不安になる。すると神山は、いや、ちゃうねん、とだけ言った。そのままおもむろに箸を持ち、肉じゃがを一口、また一口と頬張る。
「……うまい」
「ほんま?!」
「…ちょっと、焦げてるけど、うまい」
「良かった〜!」
神山は嘘は言っていないらしく、そのままぱくぱくと食べていき、一気に平らげてしまった。味噌汁も丁度良い感じに出来てる、と合格点をもらった。
良い評価を貰ってしまえば、気分も良い。こんなにしっかり料理をしたのは初めてで、たくさん苦労をした。それを誰かに話さなくては気が済まなくて。
食材選びの段階から、きちんと良いものを吟味して買ってきたことや、あと一歩で人差し指を切るところだったこと、実は焦げたジャガイモが大量発生してしまったことなどを話した。
話を聞いて笑う神山は、なんだかいつもより柔らかい雰囲気だなと思った。いつも無愛想で、あまり話さない神山。でも、たまにこんな風に笑ったり、優しかったり、そんな部分を知っているから一緒にいられるのかも。
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評価80件!ありがとうございます!!
コメントなどもとっても嬉しいです( *´艸`)
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くすみピンク(プロフ) - ウルフさん» コメントありがとうございます!!しょりそう大好きです!!行き過ぎて小説アップしたので、ぜひ見てみて下さい(*´艸`) (2018年5月3日 22時) (レス) id: 95e4c10c3b (このIDを非表示/違反報告)
ウルフ(プロフ) - しょりそう好きなんですか!?私もです!やっぱり勝利くんは攻めじゃないと・・・((殴 (2018年4月3日 17時) (レス) id: c751a453ea (このIDを非表示/違反報告)
くすみピンク(プロフ) - ペンギンさん» 以前から読んでくださっていたんですね(T_T) ありがとうございます!!これからもよろしくお願いします!更新楽しみにしていてください(´∀`) (2018年1月26日 13時) (レス) id: 95e4c10c3b (このIDを非表示/違反報告)
くすみピンク(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!待っていてくださった方がいること、本当に本当に嬉しいです(T_T) またお話の件ありがとうございます!抜けてました(汗) 今後も何かミスがあったら教えていただけると嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2018年1月26日 12時) (レス) id: 95e4c10c3b (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン(プロフ) - こんばんは!再開ありがとうございます!また作者様の作品を読むことが出来、本当に嬉しいです♪りゅかみちゃんがこれからどうなっていくのか楽しみで仕方ありません!これからも更新頑張って下さい♪ずっと応援しています! (2018年1月25日 3時) (レス) id: c34058457d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くすみピンク | 作成日時:2018年1月11日 13時