俺がお前を好きだなんて。

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相変わらず傍から見たら、暗くてちょっと近寄り難いヤツやなぁと改めて感じる。
今までは、いつも悪い目付きでスマホばっかいじってる悪い印象しか無かった。
でも、実はゲームに真剣になってるって知るとちょっと笑える。


まだ17時だというのに、すっかり真っ暗になった。充分ではない灯りの中、片付けを進める。
皆寒いから少しでも早く帰りたいという気持ちが仕事を捗らせる。
解散出来たのは18時前。まずまずの時間である。
いつものように、さっさと渋谷さんが現場を後にする。常にあの人は一番最後に来て一番最初に帰る。だから田宮さんと途中まで一緒に帰るのがいつものことだ。


しかし今日は、どうしたら良いのだろう。
仕事をしながら一日中考えていた。
神山はどうするんだろう。
仕事現場に来てから一度も口をきいていない。
それはもう関わる気が無いという意思表示なのだろうか。
しかし考えても答えを知っているのは神山だけだ。めんどくさいのは嫌いだから、もう本人に聞いてしまおうとした。
しかし現場を見回しても見つからなかった。
田宮さんに帰らないのかと聞かれる。
少しだけ寂しいような気持ちになったのは、冬特有の人恋しさによる錯覚なのだろうか。


いつもならコンビニかスーパーに寄って帰るところだが、ぼーっとしていたら家が見える所まで来てしまった。
少しお腹は空いているが、引き返すのも面倒で、なにより寒いから家に帰ることに決めた。
それにしても、やけに頭からアイツが離れない。
こんなに考えていることに段々腹がたってきたが、どれだけ拒否しても昨日の出来事が脳内に張り付いて離れない。




「…え」

「…遅ない？」

「っは？」

「帰ってくるの遅ない？」

「ちょっ、何してんの」

「なにって、待ってた。鍵持ってないし」

「いや、そうじゃなくて」

「体冷えたから早くして」




自分の家のドアの前に、地面に座って小さくなっている人影があった。
スマホの画面にぼんやりと照らされた顔には見覚えがあって。
でもそれを理解するのには少し時間がかかった。
そしたらあっちから当然のように話しかけられる。
まるでもともと約束していたみたいに。







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